大日本住友製薬
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ドクターからのメッセージ パーキンソン病治療のポイント

※ 掲載情報は取材当時の内容となりますので予めご了承ください。

ドクターのご紹介

兵庫県西宮市

新しい薬が次々と登場
あきらめないで前向きに、活動的に

つちやま内科クリニック
院長
土山 雅人(つちやま まさと)先生

ドクターからのメッセージ

脳神経疾患の診療を専門として町中に開院、在宅医療にも注力

当院は脳神経疾患の診療を専門として2001年に開院しました。西宮市の住宅街に位置し、約100人のパーキンソン病患者さんが通院されています。病院に勤務していた当時、在宅医療に接する機会はあまり多くなかったのですが、いまでは月80回、約50人の患者さんのもとに訪問診療を行っています。パーキンソン病は治療が長期に及ぶため、褥瘡(床ずれ)や排泄に関するトラブルに遭遇することもあります。近隣の他科医療機関や訪問看護ステーションとも連携しながら、地域におけるさまざまな医療的課題に対応することが町の診療所の大切な役割であると考えています。

運動症状の前に便秘や嗅覚障害などが現れることも

パーキンソン病の症状は、大きく運動症状と非運動症状に分けられます。主な運動症状として振戦(身体の片側からはじまることが多い手や足のふるえ)、動作緩慢(体の動きが鈍くなる)、筋強剛(余計な力が入って筋肉が固くなる)、姿勢反射障害(身体のバランスをとりづらく、歩き出しや方向転換のときに転びやすくなる)があり、以前はこれら運動症状がパーキンソン病の症状の主体と考えられていました。

最近、注目されているのが非運動症状です。非運動症状には、うつや発汗異常、起立性低血圧(立ちくらみ)、幻覚・妄想、認知機能障害など、さまざまなものがあります。なかには運動症状の発現に先立って現れるものもあり、便秘や嗅覚障害、レム睡眠行動異常(夢の内容と同じように行動してしまい、叫んだり暴れたりする)などがその代表例です。レム睡眠行動異常では隣で寝ている人にぶつかったり、周囲のものにぶつかりケガをしたりすることがあり、それが受診のきっかけになることもあります。

薬物治療はL-ドパ合剤とドパミン受容体作動薬が基本、補助薬も上手に併用

薬物治療はガイドラインを参考にしながら組み立てます。基本薬はL-ドパ合剤とドパミン受容体作動薬の2種類です。体内にドパミンを補充することで効果を発揮するL-ドパ合剤はとても役に立つ薬ですが、長期に服用していると運動合併症を招きやすくなります。運動合併症とは、薬が効いている時間が短縮し、調子のいいときと悪いときの差が大きくなるウェアリング・オフ現象や、薬が効きすぎて身体が勝手に動いてしまうジスキネジアという症状などです。治療内容にもよりますが、運動合併症は服薬を始めて10年前後で現れる方が多く、症状の変動を抑えるためにL-ドパ合剤の服用回数を細かく分けたり、ドパミン受容体作動薬の併用や増量を行ったりします。ただし、ドパミン受容体作動薬はL-ドパ合剤に比べて幻覚・妄想などの精神症状の出現が心配されますので、その心配が特に大きい高齢患者さんではあまり投与量を増やさないようにしています。

治療薬としては、これらのほかに補助薬というカテゴリーの薬が数種類あります。たとえば、患者さんの訴えが多い振戦に対しては抗コリン薬やドパミン賦活薬を用いることがあります。補助薬は患者さんがお困りの症状ごとに使い分けが可能であり、基本薬に上手に併用すれば運動合併症対策にもなります。薬を使いすぎないように、患者さんがどんな症状にどれだけ困っているかに合わせて治療することを心がけています。

身体を動かすことを習慣に

私はいつも患者さんに、病気だからとふさぎ込まず、できるだけ普段通りの生活を送ってくださいと話しています。症状が軽度なうちは、身体を動かすことを習慣にするようにしてください。通所リハビリテーションなどのサービスも積極的に活用し、教わった運動を常日頃から実践するのがよいでしょう。「リハビリテーションのため」と意識しすぎず、いつもの運動の延長ととらえて気楽に取り組むのが継続のポイントです。

治療を開始して10年ほどが過ぎると、先ほどお話ししたように運動合併症が目立ちはじめます。そのときは、毎日の症状の変化や特に困った症状、症状が現れるタイミングなどを診察の際に細かくお伝えください。こうした情報は薬の調節や切り替えにとても役立ちます。また、病気がさらに進行すると、認知機能障害が出てくることがあります。患者さんご自身が伝えることが難しい場合は、ご家族が代わりに伝えていただけると助かります。毎日の症状を書き留める症状日誌という冊子がありますので、これを利用するのもよいかもしれません。ご希望の方は主治医に尋ねてみてください。

パーキンソン病の理解促進のため、力を貸してください

パーキンソン病に伴うさまざまな症状を周囲が理解せず、たとえばウェアリング・オフ現象で調子が悪い時期の患者さんに対して「やる気がない」、「さぼっている」などと責めてしまうことは避けるべきです。もちろん私たち医師も正しい知識の普及・啓発に努めますが、ご家族のみなさんも周囲の理解促進にご協力いただきたいと思います。

パーキンソン病は、ここ数年で新しい薬が次々と登場し、画像検査の技術もめざましく進歩しました。病気になってしまったとあきらめることなく、毎日を前向きに、活動的に過ごしましょう。心配なことがあれば患者さん1人やご家族だけで抱え込まず、当事者会の「全国パーキンソン病友の会」に相談してみるのもよいでしょう。

病院名および診療科 つちやま内科クリニック
住所 〒663-8006 兵庫県西宮市段上町1-1-22 レインボー甲東1F
電話番号 079-857-3600
医師名 土山 雅人(つちやま まさと)先生
ホームページ http://www.tutiyama-clinic.com/外部リンク

※ 掲載情報は取材当時の内容となりますので予めご了承ください。