大日本住友製薬
Innovation today, healthier tomorrows

ドクターからのメッセージ ファブリー病治療のポイント

※ 掲載情報は取材当時の内容となりますので予めご了承ください。

ドクターのご紹介

正木 崇生(まさき たかお)先生

腎臓内科

中国・四国広島県広島市

広島大学病院
腎臓内科 教授
正木 崇生(まさき たかお)先生

ドクターからのメッセージ

腎臓内科を気軽に受診できるよう、環境の整備に取り組んでいます

近年、慢性腎臓病(CKD)という病名が広く知られるようになり、その早期発見・早期治療の重要性についても理解が深まりつつあります。一方、慢性透析療法を受けている患者さんの数は、高齢化も相まって、今なお増加し続けています。そうした中、腎臓を専門に診る診療科としての腎臓内科、および腎臓専門医に期待される役割は、以前よりも大きく、幅広くなっていると思われます。しかし、わが国の腎臓専門医の数は十分とは言えず、全国的には腎臓内科を気軽に受診できる環境が整っていない地域も少なくありません。広島県も例外ではありませんでした。

広島大学病院に腎臓内科が新設されたのは、2011年と比較的最近のことです。創設以降、私たちは広島市内のみならず東広島市、三次市など周辺地域の中核病院への腎臓内科医の配置を推し進め、地域にお住まいの患者さんが腎臓内科を受診しやすいよう、環境の整備に努めてきました。これにより、県内の広い範囲をカバーする診療体制が築かれつつあり、今後もその維持・強化を目指していきたいと考えています。

私は、一人の患者さんに長期間寄り添えることが腎臓内科の特徴であり、魅力でもあると考えています。尿検査、血液検査、腎病理検査による診断に始まり、その治療、そして透析導入・導入後の管理に至るまで、初期から終末期の一連の診療に携わることができます。同時に、腎臓病は糖尿病や高血圧をはじめ、様々な疾患が原因となって起こるため、腎臓だけでなく、全身を診る総合内科的な側面も求められます。腎障害が代表的な症状の一つであるファブリー病は、まれではありますが腎臓内科が診断と治療に貢献しうる疾患です。

糖脂質が腎臓の細胞に蓄積し、腎機能の低下をもたらします

ファブリー病は、細胞内に存在する酵素α-ガラクトシダーゼ(α-Gal)が生まれつき欠損、またはその働き(活性)が低下していることにより、本来であればα-Galによって分解されるはずの糖脂質グロボトリアオシルセラミド(Gb3)が分解されずに、細胞内に異常蓄積することによって発症します。

Gb3は全身の組織・臓器に蓄積しますが、蓄積する場所や発症時期は患者さんごとに異なります。男性では、幼少期に発症し、手足の先の痛みや発汗低下などを特徴とする「古典型」と成人以降に発症し、心臓あるいは腎臓など特定の臓器が障害される「遅発型」、女性はヘテロ接合体に分けられます。

腎障害を生じるタイプのファブリー病では、Gb3が腎臓の細胞に蓄積し、腎機能の低下をもたらします。初期には蛋白尿を呈するのみですが、進行すると最終的に末期腎不全に至り、透析療法や腎移植が必要となる場合があります。そのため、できる限り早期に診断し、治療を開始することが望まれます。

ファブリー病には酵素補充療法という治療法があります

蛋白尿は腎臓に何らかの問題が生じている可能性を示す注意信号であり、ファブリー病を早期に診断するための重要な手がかりの一つです。健康診断で「尿蛋白陽性」という結果が出ても気に留めず、再検査を受けないまま放置してしまう方も少なくありません。しかし、蛋白尿はファブリー病に限らず様々な腎臓病の早期発見にもつながる重要なサインですので、ぜひかかりつけ医や専門医にご相談ください。

再検査でも「尿蛋白陽性」となった場合、医師から腎生検という検査を提案される場合があります。腎生検とは、蛋白尿や血尿、腎機能低下などの原因を探り、正確な診断をつけるために腎臓の組織の一部を採取し、光学顕微鏡や電子顕微鏡で確認する検査です。腎臓に細い針を刺すことが必要ですので、医師の説明をよく聞き、受けるかどうかを検討してください。

症状や一連の検査結果からファブリー病が強く疑われる場合は、酵素活性測定や遺伝子解析によってファブリー病の確定診断を行います。現在ではファブリー病の治療法として酵素補充療法が確立していますので、ファブリー病と確定診断された際は速やかな治療開始を考慮します。酵素補充療法は2週間に1回の点滴静注が必要な、患者さんに負担を強いる治療法ではありますが、治療によって症状の軽減や将来の重大な合併症の予防が期待できますので、前向きに治療に臨んでいただきたいと思います。

自覚症状がないまま進行する腎臓病……蛋白尿が早期発見につながるかもしれません

ファブリー病の腎障害を含めて、腎臓病は多くの場合、自覚症状がないまま徐々に進行していきます。尿蛋白は腎臓病を早期に発見するための重要な検査項目の一つですので、「尿蛋白陽性」と指摘された場合は放置せず、再検査や精密検査を前向きにご検討ください。また、腎生検は正確な診断や病状の見通しの予測、治療法の検討に役立つ検査です。関心のある方、不安や疑問をお持ちの方は、専門施設にご相談ください。

医療機関名称 広島大学病院 腎臓内科
住所 〒734-8551 広島県広島市南区霞1-2-3
電話番号 082-257-5555(代表)
医師名 教授 正木 崇生(まさき たかお)先生
ホームページ https://www.hiroshima-u.ac.jp/hosp外部リンク

※ 掲載情報は取材当時の内容となりますので予めご了承ください。