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ドクターからのメッセージ 腰痛治療のポイント

※ 掲載情報は取材当時の内容となりますので予めご了承ください。

ドクターのご紹介

九州 熊本県 熊本市

腰部脊柱管狭窄症は、”生活機能病”の1つ

医療法人社団 誠療会 成尾整形外科病院
理事長/総院長
成尾 政圀 先生

ドクターからのメッセージ

「生活機能病」という言葉をご存知ですか?

最近、糖尿病、高血圧症、高脂血症、肥満症などを「生活習慣病」と呼ぶように、骨や関節、筋肉、神経など身体運動にかかわる運動器に障害を来し、生活する上で必要な動作に支障を及ぼす疾患を「生活機能病」と呼ぶ動きがあります。
当院を訪れる患者さんで多い訴えは、腰痛、肩こり、膝関節痛などですが、これらも「生活機能病」に含まれます。中でも腰痛を訴える疾患で、近年、急速に増加しているのが「腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)」。これは、神経の通り道である脊柱管(せきちゅうかん)が、年をとるとともに狭くなり(変性)、神経を圧迫し、立ったり歩いたりという身体運動が障害される疾患です。
特徴的な症状は、しばらく歩くと足が痛んだりうずいたりして歩けなくなり、少し立ち止まって休むとまた歩けるようになる「間欠跛行(かんけつはこう)」と、楽な姿勢を求めて体が前かがみになることです。似たような症状をもつ疾患に「閉塞性動脈硬化症(へいそくせいどうみゃくこうかしょう)」がありますが、この疾患は、歩行時に前かがみにならないことや、下肢動脈の脈拍異常(上肢の血圧より下肢の血圧が低い)で鑑別できます。同じ腰痛疾患でも、椎間板ヘルニアの場合は急激な痛みが現れるのに対し、腰部脊柱管狭窄症の場合は徐々に痛みを感じるようになります。
当院では、脊椎疾患の手術を年間約500例行っていますが、腫瘍、外傷、炎症などを除いた過去29年間の統計を調べると、椎間板ヘルニアが一番多く全体の60%を占め、残りが腰部脊柱管狭窄症でした。ところが過去7年間に限ると、椎間板ヘルニアは40%に過ぎず、腰部脊柱管狭窄症が60%に達します。これは、20~30代に多い椎間板ヘルニアに対し、腰部脊柱管狭窄症は60代をピークとするため、近年の高齢化社会が手術症例にも反映され、元気で活動的な生活を望む高齢者が増加している表れと言えます。

県外からの紹介患者さんが5割を占める当院では、手術をするかしないかのボーダーライン上にいる患者さんがほとんどです。そこで、手術をしなくても改善する可能性がある方には、少し前屈姿勢になるコルセットを装着したり、鎮痛剤や血管を広げる薬などを投与したり、硬膜外ブロックなどの神経ブロック療法を行ったりという保存療法をまず行います。
保存療法で改善しない方や、最初から手術を望む方、短い距離も歩けない、足がからまる、尿失禁や排便障害といった症状のある方は、手術適応となります。神経から枝分かれした部分が圧迫されている「神経根型」の場合は、骨の一部を窓のように切り取り除圧をする「開窓(かいそう)術」を行います。さらに骨や関節がぐらついて不安定な方には「固定術」を加えます。最近は、最小侵襲法(患者さんに最も負担が少ない手術)として、内視鏡を使った手術が注目されていますが、従来の方法と比べて時間がかかるというデメリットがあります。経験が未熟な医師が行うと長時間を要し、逆に最大侵襲となってしまう危険性を秘めています。私は、時間をかけて手術を行うよりも、数十分で終わった方が患者さんの負担も少ないという考えから、内視鏡による手術は今のところ行っていません。ただ将来的には、内視鏡手術の時代が来るかもしれません。いずれにしても、手術によって痛みについてはほとんど改善し、ADL(歩く、立つなどの日常生活動作)は格段に向上します。しびれは、術後も残る場合がありますが、血管を広げる薬を投与することで症状は軽くなるようです。
2020年、わが国は男性労働力の90%を60~64歳が占める超高齢化社会になります。生活機能病を早期に治療し、労働力の中心となる高齢の方々が、元気で質の高い生活を送ることができる社会を願います。

病院名および診療科 医療法人社団 誠療会 成尾整形外科病院
住所 〒862-0958 熊本市岡田町12-24
電話番号 096-371-1188
医師名 成尾 政圀 先生
ホームページ http://www.naruoseikei.com/外部リンク
治療責任者 総院長:成尾 政圀(なるお まさくに)
経歴 1961年3月 徳島大学医学部卒
1977年1月 医療法人社団 誠療会 成尾整形外科病院 勤務

※ 掲載情報は取材当時の内容となりますので予めご了承ください。