大日本住友製薬
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ドクターからのメッセージ パーキンソン病治療のポイント

※ 掲載情報は取材当時の内容となりますので予めご了承ください。

ドクターのご紹介

奈良県天理市

「診てもらってよかった」と毎回喜んでいただける診療の提供をめざしています

公益財団法人 天理よろづ相談所病院 神経内科
部長
末長 敏彦(すえなが としひこ)先生

ドクターからのメッセージ

地域とのつながりを大切に

当院は奈良県立医科大学附属病院と並んで県下最大規模の病床を有し、地域医療の中核を担っています。そうしたなか、私たち神経内科ではパーキンソン病を含む神経変性疾患や認知症、および脳卒中後の患者さんなどを幅広く診療しています。外来患者数は1日約100人で、常時約50人の患者さんが入院しておられます。
パーキンソン病は、地域のクリニックからの紹介患者さんが多くを占めますが、院内の他科(総合内科など)に通院された患者さんを診察する場合もあります。当科を受診された時点ではまだ診断が確定しておらず、治療を受けていない患者さんも少なくないため、地域とのつながりが大切であると感じています。

運動症状のほか、便秘、めまいなどの非運動症状がみられることも

パーキンソン病は、手足のふるえ(振戦)やこわばり(固縮)、歩行や動作が遅くなる(動作緩慢)、転びやすくなる(姿勢反射障害)、といった運動症状を示すことが特徴です。腰痛があり、身体が動かしにくいという理由で整形外科に通っていた方が、実はパーキンソン病であったということもあります。また、便秘やめまい、発汗異常、嗅覚障害、睡眠障害などの非運動症状を合併することも多いのですが、これらの症状からパーキンソン病に気づくことは難しいかもしれません。
こうした症状の有無を問診でお聞きするとともに、診察室での歩行や姿勢を観察することがパーキンソン病診断の第一歩です。診断をより確かなものにするため、頭部MRIなどの画像検査を行うほか、パーキンソン病を疑う患者さんには1泊から2泊の短期入院のもとで治療薬(L-ドパ製剤)を服用していただき、血液中の薬の濃度の上がり方や運動症状に対する効果を確認することもあります。
パーキンソン病に似た症状を示す他の神経変性疾患の可能性を除外するため、より精密な画像検査を行う場合もあります。また、パーキンソン症状が急激に現れた方は、服用している薬を原因とする薬剤性パーキンソン症候群である可能性がありますので、服用中の薬のなかにパーキンソン症状を引き起こすものが含まれていないかを確認します。

患者さんの状態や環境に応じて薬を調節

パーキンソン病の治療薬にはさまざまな種類があり、患者さんの状態や環境に応じて調節する必要があります。当科では、運動症状の改善とともに患者さんの生活の質(QOL)の向上を重視した薬物療法を行うよう努めています。薬の効果と副作用の現れ方は患者さん1人ひとり異なりますので、日常生活や仕事の状況も考慮しながら、それぞれの患者さんに合った薬の種類と量、および併用薬を選択していきます。
中心的な治療薬はL-ドパ製剤(脳内で不足しているドパミンを補充する薬)ですが、長期に使用するとウェアリング・オフ(薬が効果を発揮する時間が短くなる現象)やジスキネジア(自分の意思に関係なく身体が動いてしまう症状)などの運動合併症が生じやすくなるという問題があります。そのため私は、L-ドパ製剤の用量は運動合併症を生じさせにくいと言われている量を目安とし、それでも十分に運動症状が改善されない場合はドパミン受容体作動薬(脳内のドパミンの作用を増強する働きがある薬)や、その他の補助薬を併用しています。

日常的に身体を動かすことが大切

私はよく、患者さんに「薬をのんでいるだけではよくなりません」とお話ししています。病気の進行を遅らせるためには、薬で運動症状を改善し、身体を動かせる状態にしたうえで、日常的に身体を動かすことが大切です。運動を毎日続けるためのコツは、今までやってきたことを無理のない範囲で行うことです。外に出るだけでも、五感が刺激されてよい影響がもたらされます。散歩する際には、少し意識して身体を動かすようにしてください。胸を張って、大きく手を振って歩くと効果的です。

今を充実させること、日々を楽しく過ごすことを目標に

パーキンソン病の患者さんのなかには、「このままどんどん悪くなって、寝たきりになるのではないか」という不安をもつ方もいます。しかし、将来のことをあれこれ心配するよりも、今できることに取り組み、日々を楽しく過ごすようにしていただきたいと思います。こうした心構えでいることが脳内のドパミン分泌を促し、症状改善にもつながります。
私たち医療者は、患者さんとの信頼関係が何より大切であると考えています。将来に対する不安や医療に対する不信を抱えたままでは、治療にも悪影響が及んでしまいます。不安や不信を解消し、「診てもらってよかった」と毎回喜んでいただける診療の提供をめざしています。

病院名および診療科 公益財団法人 天理よろづ相談所病院 神経内科
住所 〒632-8552 奈良県天理市三島町200番地
電話番号 0743-63-5611
医師名 末長 敏彦(すえなが としひこ)先生
ホームページ http://www.tenriyorozu.jp/外部リンク

※ 掲載情報は取材当時の内容となりますので予めご了承ください。