大日本住友製薬
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ドクターからのメッセージ パーキンソン病治療のポイント

※ 掲載情報は取材当時の内容となりますので予めご了承ください。

ドクターのご紹介

岡山県倉敷市

患者さん、ご家族の良きパートナーとして、ともにパーキンソン病と闘います

医療法人誠和会 理事 倉敷紀念病院 神経内科
部長
安田 雄(やすだ たけし)先生

ドクターからのメッセージ

治療から支援、そして看取りまで、法人全体で患者さんの人生に寄り添う

当院は急性期病棟と療養型病棟を有し、回復期リハビリテーション病棟および特殊疾患病棟も備えたケアミックス型の病院です。さらに、法人としては介護老人保健施設、グループホーム、小規模多機能施設、有料老人ホーム、通所・訪問リハビリテーション、デイサービスなど、多くの介護・福祉サービスを提供しています。治療から支援、そして看取りまで、患者さんの人生に寄り添う体制となっています。

私が責任者を務める特殊疾患病棟には神経難病の患者さんが入院されており、その約3分の2はパーキンソン病の患者さんです。入院・入所の患者さんと通院の患者さんをすべて合わせると、私が診療しているパーキンソン病患者さんは400~450人おられます。

通院患者さんの多くは岡山県南部にお住まいですが、神経内科専門医が少ない県北部から通われている方も少なくありません。地域全体で患者さんを支えられるよう、パーキンソン病に関心を寄せている県内各地の若手医師との勉強会を約10年前から始めました。パーキンソン病について学んだ各地の医師たちが、治療開始後の比較的状態の良い「ハネムーン期」の患者さんの診療を担い、何か困り事が発生した場合はすぐに連携が取れる関係性を築くことを目指しています。顔が見える間柄になったことで、互いに相談もしやすくなり、円滑な連携が可能になっています。

患者さんとの最初の出会いを最も重視

患者さんとの関わりで私が最も重視しているのが、最初の出会いです。当院を訪れる患者さんには、複数施設での診療を経たのちに来院される方が少なからずおられます。その理由はさまざまですが、パーキンソン病についての説明を十分に受けないまま、不安を抱えながら病院を転々としてきた患者さんを多く見受けます。私が初めて診察する患者さんには可能な限り、その日の診療時間後に30分から1時間程度、病気について詳しく、丁寧に説明しています。すべてを一度に理解することは難しいですが、正しい理解が深まれば深まるほど前向きな気持ちになり、治療中断に至ることが少なくなると感じています。

治療薬や外科的手技がめざましく進歩した一方、専門医の力が問われる場面が増加

1817年にパーキンソン病が初めて報告されてから、今年(2017年)でちょうど200年になります。以前は有効な治療手段が乏しく、推移を見守るしかない「受け身の病気」でしたが、治療薬や外科的手技の目覚ましい進歩によって、治療について前向きに論じることができる病気になりました。現在も、有望な治療手段の開発が進められています。

その一方、治療選択肢の増加により、私たち専門医の力量が問われる場面も増えました。「これだけの薬を処方しているのだから、効かないはずがない」という思い込みは、私たちが陥りやすい落とし穴です。薬をのむ時間帯が適切でなかったり、のみ残し・のみ忘れが多かったりして薬の効果を十分に引き出せていないことが往々にしてあります。その様な場面で「効き目が弱いから増量しよう」と即断するのではなく、患者さんのライフスタイルに目を配っての治療薬調節や、服用方法などについての助言がとても大切だと考えています。

「今、目の前にいる患者さんが、患者さんのすべてではない」――診察室で忘れないよう、私がいつも心がけていることです。薬物治療開始後、ハネムーン期が終わると、薬(L-ドパ製剤)が効きにくくなるウェアリング・オフ現象や、自分の意思に反して身体が動いてしまうジスキネジアという症状が現れることがあります。診察に来られる患者さんは、気を張っているためか良好な状態に見えることが多いですが、自宅ではウエアリング・オフ現象やジスキネジアが現れていた、ということが多々あります。診察室ではしっかり歩くことが出来ていた患者さんが、おぼつかない足取りで帰路につく様子を見かけたこともありました。症状の変化を早期に察知するため、患者さんを注意深くみるともに、自宅での様子をよく知るご家族や介護者の話に耳を傾けるよう努めています。

薬物治療のほか、年齢や症状などの条件を満たす患者さんでは脳深部刺激療法(deep brain stimulation;DBS)も治療選択肢となります。DBSとは、脳深部に電極を挿入し、神経を刺激することによってその過剰な活動を鎮めて症状のコントロールを図る治療法です。DBSに関して、当院では岡山大学病院脳神経外科と連携しており、適応と考えられる患者さんを積極的に紹介しています。DBSによって症状の改善が得られれば、薬の服用量を段階的に減量することができる可能性があります。

「リズムよく、大きく動かす」が、リハビリテーションのポイント

薬物治療、DBSと並ぶパーキンソン病治療の三本柱の1つがリハビリテーションです。法人内の通所リハビリテーションでは、週1回ほどのペースでリハビリテーション専門職が適切な身体の動かし方を指導し、自宅でも実践いただいています。「リズムよく、大きく動かす」が、パーキンソン病におけるリハビリテーションのポイントです。

ウォーキングも効果的ですが、転倒しやすくなっていることがあり、安全に配慮する必要があります。すくみ足の症状が強く出ている患者さんには、家の動線に目印となるテープを貼って足を踏み出しやすくするという工夫が有効です。音楽を聴くと身体が動かしやすくなる患者さんには、携帯プレーヤーから流れる音楽のリズムに合わせて炊事や掃除、洗濯などをすることをお勧めしています。また、自宅で手軽にかつ安全に実践できる「パーキンソン病体操」の書籍やDVDをご案内することもあります。

患者さんと課題を共有し、話し合いながら治療を進めていきます

私が患者さんにお願いしたいことの1つは、すべてを医師に委ねるのではなく、「今よりもよい状態をめざすためにはどうすればいいか」を患者さん自身も考えながら治療に臨んで欲しい、ということです。受診ごとに課題を設定して、課題をクリア出来たか否か、クリア出来なかったのは何が問題だったのかを次の受診時にお伝えください。私も治療上の課題を患者さんと共有し、話し合いながら治療を進めていきます。この様なコミュニケーションの積み重ねが絆を深めますので、私は特に意識して実践しています。

私たちは患者さんとご家族の良きパートナーとして、パーキンソン病と闘います。悲観することなく希望をもって、一緒に歩んでいきましょう。

病院名および診療科 医療法人誠和会 理事 倉敷紀念病院 神経内科
住所 〒710-0803 岡山県倉敷市中島831
電話番号 086-465-0011
医師名 安田 雄(やすだ たけし)先生
ホームページ http://www.seiwakai-net.or.jp/外部リンク

※ 掲載情報は取材当時の内容となりますので予めご了承ください。