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ドクターからのメッセージ パーキンソン病治療のポイント

※ 掲載情報は取材当時の内容となりますので予めご了承ください。

ドクターのご紹介

 香川県高松市

初期対応の誤りは禁物 パーキンソン病が疑われる場合は専門医に相談を

医療法人 高松神経内科クリニック
院長
山本 光利(やまもと みつとし)先生

ドクターからのメッセージ

ひとりひとりの患者さんにじっくり向き合うために

当施設は、パーキンソン病、運動障害(振戦、ジストニア、ジスキネジア、けいれんなど)、てんかん、片頭痛の専門外来に特化したクリニックとして、2012年に開院しました。以前は香川県立中央病院に勤務し、30年近くにわたってあらゆる神経疾患を診療してきました。自分自身が最も関心を寄せ、経験も豊富なパーキンソン病とその関連疾患を中心にひとりひとりの患者さんをじっくり診療していきたいという思いから、開院を決意しました。

現在は1日平均約30人の患者さんを診療しており、そのうち約8割がパーキンソン病の患者さんです。患者さんひとりあたりに向き合う時間は、病院に勤務していたころよりも長くなりました。患者さんとの信頼関係も、以前にも増して深まっていると感じています。患者さんに高い満足を得ていただけるよう心がけながら、日々の診療にあたっています。

クリニックを医療法人化したことに伴い、医療法の下で研究所を設置できるようになりました。そこで、パーキンソン病の臨床研究や関連する諸活動を行うことを目的とする「パーキンソン病研究所」を2016年に設立しました。全国の専門医や学会の協力を得ながら、パーキンソン病診療の向上と疾患啓発に貢献していきたいと考えています。

正しい知識を伝え、不安を取り除くよう努めています

パーキンソン病の診療においては、患者さんとそのご家族に正しい知識を伝えることを重視しています。その一環として市民公開講座を年に数回開催しており、毎回全国から招いた第一線の専門医に講演をお願いしています。私だけから解説するのではなく、別の演者が異なる言葉で解説する方が患者さんにとってもご家族にとっても新鮮に感じられるでしょうし、病気に向き合ううえでの励みにもなると考えています。

パーキンソン病の疑いで神経内科を受診される患者さんの多くは、身体の動かしづらさなど生活上の困難に直面しており、やがて寝たきりになってしまうのではないかという不安を抱えています。当施設では段階的な検査を経てパーキンソン病である可能性が高くなった時点で、診断を説明し、治療法があること、運動やリハビリテーションが大切であること、急に悪化する病気ではないことなどをお伝えし、不安を取り除くよう努めています。

患者さんの生活上の困難を早期に把握し対処するため、日誌を活用

薬物療法の基本薬はL-ドパ製剤とドパミン受容体作動薬の2種類です。年齢や症状、生活上の困難の程度などを総合的に考慮して、治療開始時に用いる薬の種類や用量を判断します。L-ドパ製剤は長期に服用すると薬が効いている時間が短縮するウェアリング・オフ現象や自分の意思と関係なく身体が動いてしまう不随意運動(ジスキネジア)が現れやすくなりますので、こうした運動合併症がみられた場合は、L-ドパ製剤の用量や服用回数、併用薬の調整などを行います。

ウェアリング・オフに伴う症状の日内変動や日差変動は患者さんの生活に特に大きな支障をもたらしますので、その有無を早期に把握し対処することが大切です。私は患者さんに日常生活で困っていることや1日の症状の変化、薬を飲んだ時間などを日誌に記入していただき、治療に役立てています。日誌を通して患者さんの生活習慣を理解することもできますので、コミュニケーションが深まり、より良い疾患教育や生活指導にもつながるというメリットがあります。

運動は毎日継続することが何より大切

薬物療法とともに治療の柱となるのが運動療法です。その基本は歩くことであり、軽症で運動に支障がないうちは、少なくとも1日に30分間歩くようにしてください。また、全身運動も有用であり、手軽に始められる全身運動としてNHKのラジオ体操やテレビ体操をお勧めしています。

ただし、運動に励みすぎた翌日に疲れて動けなくなってしまうようでは困ります。易疲労性(疲れやすさ)はパーキンソン病の症状の1つでもありますので、疲れすぎないように運動量を調節するようにしましょう。1日分の運動を一度に行うのではなく、朝・昼・夕と小分けにしても結構です。運動は毎日継続することが何より大切ですので、習慣化するためにいろいろと工夫してみてください。

病気が進行して杖が必要になるなど、運動に支障が生じている患者さんの場合は、医療・介護スタッフの指導の下でのリハビリテーションが必要です。しかし、パーキンソン病のために適切なリハビリテーションについての理解はまだ十分に普及・浸透していないため、すべての施設で専門的なリハビリテーションを受けられるわけではないのが現状です。こうした状況を改善するため、私は近隣他施設との連携の下、パーキンソン病に専門特化したリハビリテーションプログラムを提供できる体制を整えたいと考えています。

地域の若手医師やその他の医療スタッフの教育にも尽力

パーキンソン病の患者さんは軽症から重症まで、また、高齢者から若年者まで幅広く多様ですので、その診療のあり方を一口で語ることは困難です。高齢の患者さんが多いということが特徴の1つであり、高齢者医療の枠組みのなかでどのようにサポートしていくかということが重要な課題となっています。その一方、若年で発症した患者さんに対しては異なる対応が求められます。多様なパーキンソン病患者さんひとりひとりに対応するためには医療者側のレベルアップが不可欠であり、私も研究会などを通じて地域の若手医師やその他の医療スタッフの教育に尽力しています。

パーキンソン病は神経内科領域の疾患のなかでも研究が進んでいる疾患の1つであり、治療薬も続々と開発されています。今後の10年間では、さらなる病態解明、治療の進歩に期待がもてます。その反面、残念ながら「パーキンソン病は簡単に治療できる」と軽視されてしまうこともあるようですが、決してそうではありません。初期の対応を誤るとその後の治療に難渋することがありますので、パーキンソン病が疑われる場合は神経内科専門医、なかでもパーキンソン病の診療に精通した医師の診療を受けることが望ましいと思います。

病院名および診療科 医療法人 高松神経内科クリニック
住所 〒760-0027 香川県高松市紺屋町4-10 鹿島紺屋町ビル1F
電話番号 087-873-2228(代表) / 087-813-1400(予約専用)
医師名 山本 光利(やまもと みつとし)先生
ホームページ http://www.tn-clinic.jp/外部リンク

※ 掲載情報は取材当時の内容となりますので予めご了承ください。