大日本住友製薬
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ドクターからのメッセージ パーキンソン病治療のポイント

※ 掲載情報は取材当時の内容となりますので予めご了承ください。

ドクターのご紹介

福井県坂井市

薬物治療とリハビリテーションが基本 「勇気」をもって、地道に続けていきましょう

医療法人社団茜会 藤田神経内科病院
院長
藤田 祐之(ふじた ゆうし)先生

ドクターからのメッセージ

神経内科のみならず一般内科にも対応できる体制を敷き、地域医療に貢献

当院は福井県坂井市を中心に、隣接する福井市からも多くの患者さんが訪れる神経内科専門の病院です。地域医療のニーズにお応えするため、神経内科の病気に限らず内科全般の病気にも総合的に対応できる体制を敷いています。

神経筋疾患の在宅患者さんへの訪問診療も行っています。筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、多系統萎縮症、筋ジストロフィーなどで身体を動かすことが困難な患者さんに対する在宅医療は、地域医療の重要な一角です。在宅医療の現場では、看護・介護に携わるスタッフの存在が欠かせません。また、法人全体としてリハビリテーションに力を入れており、当院リハビリテーション科でも多くの専門スタッフ(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が活躍しています。

パーキンソン病の症状はさまざま 気になることは放置せず相談してください

現在、約70人のパーキンソン病患者さんを外来で診察しています(年間延べ来院患者数:約280人)。初診や紹介で来院されるパーキンソン病患者さんの年齢層は50歳代~80歳代と幅広いですが、比較的高齢で、罹病から5年以上が経過した進行期の方が多い状況です。

パーキンソン病の運動症状はさまざまで、手や足または口や首のふるえ(振戦)、筋肉のこわばり(筋強剛)、動作がしづらくなる、といった症状のほか、すくみ足、歩幅が小さくなる、急に立ち止まれなくなる(突進現象)といった歩行障害が生じることがあります。また、転びやすくなる姿勢反射障害や、普段の姿勢が前や横に傾く姿勢異常、食べ物が飲み込みにくくなる嚥下障害、言葉を発しにくくなる構音障害がみられる方もいます。

こうした運動関連の症状は気づかれやすいのですが、便秘やめまい(起立性低血圧)、においがわかりづらくなる嗅覚異常などの非運動症状は、見過ごされがちです。非運動症状にはこのほか、抑うつ気分や認知機能低下、不眠、夜中に大声を出したり暴れたりしてしまうレム睡眠行動障害などがあります。これらの非運動症状だけでパーキンソン病であるとはいえませんが、診断のヒントになります。気になる症状があれば放置することなく相談してください。

治療に前向きになっていただくため、症状改善の「見込み」をお伝えしています

パーキンソン病の症状は、脳内のドパミンの働きが不足することが主な原因です。ドパミンを補うL-ドパ製剤が最も基本的な治療薬ですが、長期に使用すると効果が出にくくなり、服薬しているにもかかわらず症状を抑えることができないウェアリング・オフ現象や、ジスキネジアと呼ばれるクネクネとした余計な動きがでてきてしまう症状がみられるようになります。比較的若い患者さんに対しては、L-ドパ製剤の効果を将来に温存するため、ドパミン受容体作動薬を最初に用いることがあります。

当院では高齢の患者さんが多いこともあり、L-ドパ製剤にて治療を開始する例が大半を占めています。治療を開始する際、私は服薬開始から1カ月後にどの程度の症状改善が期待できるかという「見込み」をお伝えするようにしています。これにより治療に前向きになっていただけますし、見込んだとおりの改善が得られていない場合は、そのことを知らせていただくことで治療内容を再検討することができるためです。

進行期には症状に合わせて併用薬を調整

パーキンソン病の治療薬としては、L-ドパ製剤やドパミン受容体作動薬や、モノアミン酸化酵素(MAOB)阻害薬以外にも、豊富な種類の補助薬があります。薬の形状としても、従来の経口薬以外に、貼付剤や口の中で溶ける口腔内崩壊錠、自己注射など、さまざまな補助薬が登場しています。脳内に電極を挿入する手術を行う脳深部刺激療法を選択することもあります。補助薬にはそれぞれ特徴がありますので、患者さんの症状や生活の状況(自動車を運転する機会がある、嚥下困難があるなど)に適した薬を選択します。進行期には、症状の進行そのものに加えて薬の副作用もまた、治療を困難にする要因になりますが、患者さんご自身ならびにご家族・介護者と相談しながら、併用薬を調整します。

自動車を運転する機会がある患者さんに対しては、治療薬の選択以外に、患者さんご自身に年齢や能力を省みていただくことも大切であると考えています。当院では、自動車のドライブレコーダーの映像と、患者さんの視線を検出するアイトラッカーという機械を用いて、患者さんがどのくらい信号や標識などに注意を払っているかを調べる試みをしています。パーキンソン病の患者さんでは道路状況に注意する機能が落ちていることがあり、そうした場合は運転を控えるよう助言することもあります。

薬物治療とリハビリテーションが治療の基本

当院では、2週間ほどのリハビリテーション入院等、患者さんの状況に合わせたリハビリテーションを提供しており、身体を動かす理学療法、リズムを用いた音楽療法、また、発声や嚥下のトレーニングなども行っています。パーキンソン病は薬による治療とリハビリテーションによって症状の改善が期待できる病気ですので、前向きにこれらを続けていただくことが大切です。

世の中には、パーキンソン病に限らず「夢の治療法」や、もの珍しい民間療法に関する情報があふれていますが、そちらに目を奪われて基本的な治療を軽んじてはなりません。はじけるような明るい希望は、往々にして一時的なものに終わってしまいます。現状では、治療の基本はやはりL-ドパ製剤を中心とする薬物治療とリハビリテーションなのです。

「勇気を失うことは全てを失うことである」というゲーテの言葉がありますが、パーキンソン病と向き合い、基本的なことを地道に続けていく「勇気」をもっていただきたいと思います。勇気をもつことが、パーキンソン病の治療において最も大切なことではないでしょうか。

病院名および診療科 医療法人社団茜会 藤田神経内科病院
住所 〒910-0367 福井県坂井市丸岡町羽崎31-12-1
電話番号 0776-67-1120
医師名 藤田 祐之(ふじた ゆうし)先生
ホームページ http://www.akanekai.jp/fujita.htm外部リンク

※ 掲載情報は取材当時の内容となりますので予めご了承ください。