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ドクターからのメッセージ パーキンソン病治療のポイント

※ 掲載情報は取材当時の内容となりますので予めご了承ください。

ドクターのご紹介

高知県高知市

急がない、あせらない――日常生活をゆっくり、楽しく

医療法人防治会 いずみの病院
副院長・脳神経センター長
清家 真人(せいけ まさと)先生

ドクターからのメッセージ

高知県内で唯一、パーキンソン病の外科手術を定期的に実施

当院は、脳に関する専門的な診療を提供する「脳神経センター」を2010年に開設しました。脳神経センターでは、脳神経外科と神経内科、リハビリテーション部が密接に連携し、脳腫瘍や脳梗塞、パーキンソン病などを包括的に診療しています。

当センターの特徴の1つが、パーキンソン病に対する外科手術の実施です。脳深部刺激療法(deep brain stimulation;DBS)と呼ばれるもので、脳内に細い電極の針を埋め込み、神経を電気刺激して症状を緩和させるという治療法です。当院では、DBSと薬物療法、リハビリテーションをパーキンソン病治療の3つの軸に位置付けています。DBSを定期的に実施している施設は高知県内では当院のみであるため、県内はもとより四国地方全域から、広くは西日本を中心に全国各地から患者さんが訪れています。

パーキンソン病と似た症状が現れる「隠れ脳梗塞」にも要注意

パーキンソン病は、脳の特定の神経細胞が変性し、ドパミンという神経伝達物質が減少することによって発症します。初期には安静時の手や足のふるえで気づくことが多く、そのほか筋肉のこわばりや関節の動かしづらさがみられることもあります。「電話のとき、受話器を持っていない方の手がふるえる」、「箸や歯ブラシなどが使いにくくなった」、「料理のときの手さばきがぎこちなくなった」といった訴えがよく聞かれます。病気が進行すると、身体のバランスを保ちにくくなり転びやすくなったり、歩き始めの一歩が踏み出せない、小刻みに歩くようになる、足がすくむ、といった歩行障害がみられたりします。

症状は、こうした動作に関するものだけではありません。便秘や睡眠障害、異常な発汗、うつ、低血圧による立ちくらみなど、さまざまな症状がみられます。進行すると認知機能の低下がみられることもあり、薬の量が増えてくると、幻覚・妄想などの精神症状も起こりやすくなります。

パーキンソン病を疑って当院を訪れる患者さんのなかに、歩きにくさを訴える方がいます。しかし、歩きにくさが初発症状になることは珍しく、脳梗塞の一種であるラクナ梗塞が原因であることが少なくありません。ラクナ梗塞は脳の細い血管が詰まる病気で、無症状のことが多いため「隠れ脳梗塞」とも呼ばれます。梗塞が多発すると、歩きにくさをはじめパーキンソン病に似た症状が現れるのです。ラクナ梗塞とパーキンソン病の治療法はまったく異なるため、MRIという画像検査で原因を探り、判明した原因に応じて適切に対応します。

DBSは心強い治療選択肢

パーキンソン病の治療は減少したドパミンを補充するためのL-ドパ合剤や、ドパミンの作用を補うドパミンアゴニストという薬を中心に組み立てます。進行性の病気であるため症状に合わせて薬の投与量を調整しますが、時間の経過とともに、1日のなかで症状がよくなったり悪くなったりを繰り返す日内変動(ウェアリング・オフ現象)や、身体が勝手に動いてしまう不随意運動(ジスキネジア)が起こりやすくなります。投与量を“腹八分目”に抑えて、こうした現象が起こるまでの期間を延ばしたい一方、仕事をされている現役世代の患者さんなどでは十分量の投与による症状改善を望まれることがあり、ジレンマに陥ることがしばしばあります。

そこで当院が提案しているのが、DBSです。DBSが奏効すると薬の投与量をおよそ半分に減らすことも可能で、日内変動や不随意運動だけでなく、幻覚・妄想の改善なども期待できます。DBSは手足のふるえに対する効果が期待できるため、ふるえで日常生活がままならない患者さんにも適しています。また、将来的なDBSの実施が視野に入れられると、十分量の薬を使うことによる症状の維持・改善を図ることも可能になってきます。

当院では、2001年11月から2016年8月までの間に194人の患者さんにDBSを行っており、約8割の患者さんで症状の改善、薬の減量を達成しています。脳内に電極を埋め込むため脳出血のリスクがあるといわれていますが、当院ではこれまで経験していません。対象年齢の上限の目安は75歳で、全身状態が良好であれば80歳を超える患者さんに対しても実施しています。薬による治療で一定の効果が得られない方や、副作用のために薬の増量が難しい方などは、DBSという心強い治療選択肢があることを知っていただきたいと思います。

発症早期から運動を日課に

リハビリテーションも欠かすことができません。薬が「潤滑油」だとすると、油をさすだけではなく動かしてあげなくてはならない。これがリハビリテーションの役割です。つまり、薬による治療だけでは十分でなく、身体を動かす習慣が必要なのです。病気が進行してしまった後では運動を習慣化しにくくなりますので、不自由さをあまり感じていない早期の段階から運動を励行するようにしてください。まずはNHKの「みんなの体操」や簡単なストレッチを日課にしてはいかがでしょうか。

当院では、パーキンソン病専門のリハビリテーションコースを設け、3週間の入院による特別プログラムを提供しています。1日3~4時間、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、音楽療法士の専門スタッフが対応にあたり、私たち医師はDBSの術後管理などを行います。コース終了時には患者さんの身体機能を評価した「通信簿」をお渡しして治療継続の意識を高めています。また、患者さんに楽しんで実施いただけるよう、高知名物「よさこい祭り」を取り入れたリハビリテーションの導入も検討中です。

私がいつも患者さんお伝えしているのは、急がないこと、あせらないことです。ゆっくりでも、満足できる日常生活は維持できます。ご家族も、少し気長に待つ姿勢が必要です。ドパミンは、楽しいことを考えたときに分泌されるといわれていますので、あまりくよくよせず、ご家族とショッピングに出かけるなど活動的に日々を過ごしてください。

病院名および診療科 医療法人防治会 いずみの病院
住所 〒781-0011 高知県高知市薊野北町2-10-53
電話番号 088-826-5511
医師名 清家 真人(せいけ まさと)先生
ホームページ http://www.izumino.or.jp/外部リンク

※ 掲載情報は取材当時の内容となりますので予めご了承ください。