大日本住友製薬
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ドクターからのメッセージ パーキンソン病治療のポイント

※ 掲載情報は取材当時の内容となりますので予めご了承ください。

ドクターのご紹介

栃木県下野市

患者さんとご家族の人生に寄り添いながら、個別治療の提供をめざしています

自治医大ステーション・ブレインクリニック
藤本 健一(ふじもと けんいち)先生

ドクターからのメッセージ

脳神経疾患専門のクリニックとして

当院では池口邦彦院長と私の2人で脳神経疾患を専門に診療しています。私が診療しているパーキンソン病患者さんは1日約30人、計約500人にのぼります。栃木県内や近隣の県だけでなく、遠くは愛知県や長野県などから訪れる患者さんもおられます。心がけているのは、患者さんお一人お一人に合った治療を提供することです。一口にパーキンソン病といっても、症状や進行具合は患者さんごとに異なります。患者さんとご家族のご希望もさまざまですので、それぞれの状況に応じた個別治療の提供をめざしています。

最近、遭遇することがある問題の1つが「薬ののみすぎ」です。薬物療法が進歩し、手のふるえや動きにくさなどの運動症状を改善させやすくなったのですが、反面、症状改善を求めてより多くの薬を希望される患者さんがおられます。薬ののみすぎは、衝動制御障害という問題を生じさせます。衝動制御障害とは、病的賭博、性欲亢進、買いもの依存、過食、爆発的攻撃行動などの異常行動を指します。これらは周囲に迷惑をかけ、大きな問題に進展することがあります。病的賭博や性欲亢進など、本人の人格の問題と片づけられがちですが、治療薬の副作用のこともあります。患者さんだけでなく、ご家族や介護者にとってお困りの症状がある時は、何でもお伝えいただきたいと思います。

運動症状だけでなく、身体の痛みなどの非運動症状に悩まされることも

パーキンソン病の症状は、手足のふるえ(振戦)、動きにくさ(動作緩慢)、筋肉のこわばり(筋強剛)、身体のバランスの取りにくさ(姿勢反射障害)などの運動症状が代表的です。病気が進行すると、薬が効いていない時間(オフ時間)が長くなり、1日のなかで症状の変動が大きくなるウェアリング・オフという現象が現れやすくなります。オフ時間にあらわれるのは運動症状とは限りません。患者さんの訴えが特に目立つのが腰痛をはじめとする身体の痛みです。このほか気分の落ち込みや不安、動悸や息苦しさなど、さまざまな非運動症状を認めることがあります。

パーキンソン病は、症状の聴き取りを中心に画像情報などを参考に診断します。病名を告げると落胆される患者さんも少なくないのですが、パーキンソン病には治療法がたくさんあり、それらを上手に組み合わせることで長期にわたっていい状態を保つことが可能です。前向きな気持ちで治療に臨んでいただきたいと思います。

薬物療法と脳深部刺激療法が治療の両輪

パーキンソン病は、脳内で情報のやりとりをする神経伝達物質の1つであるドパミンが減少することによって発症します。そのため、ドパミンを補充するL-ドパ合剤、あるいはドパミンの作用を補うドパミン受容体作動薬という薬が薬物療法の中心になります。L-ドパ合剤は、長期に服用するとウェアリング・オフ現象が現れやすくなり、ドパミン受容体作動薬は、一部の薬で眠気の副作用が生じることがあります。こうした薬の特性を踏まえて、患者さんと相談しながら薬を調整します。おおよそ60歳代前半まではドパミン受容体作動薬、それ以降はL-ドパ合剤で治療を開始します。

症状が進行してきた場合は、L-ドパ合剤の1日の服用回数を増やしたり(6回程度まで)、補助薬というカテゴリーの薬を併用したりして改善を試みます。薬物療法の効果が弱まってきたら、脳の特定部位に電極を挿入し、胸の皮下に埋め込んだ装置から電気刺激を送る脳深部刺激療法(deep brain stimulation;DBS)という手術も選択肢になります。この方法は、自分の意思に反して身体が動いてしまうジスキネジアという症状のある患者さんに特に効果的です。手術後は刺激条件の調整が必要です。手術した脳神経外科が刺激条件の調整をしている施設が多いのですが、当院では薬とDBSを治療の両輪と考えており、刺激条件の調整も行っています。薬とDBSの双方を調整することで、効果を最大限に引き出すよう努めています。

背骨の周りの筋肉(傍脊柱筋)を鍛えて姿勢保持をめざそう

運動療法も重要です。当院では、早期からの筋力トレーニングとストレッチを奨励しています。腰曲がり、首下がりといった姿勢異常の訴えはとても多いのですが、主な原因は傍脊柱筋(ぼうせきちゅうきん)という背骨の周りの筋肉の衰えです。傍脊柱筋を強化するため、①仰向けに寝て、腰が弓なりになるまでゆっくりとお尻を上げる、②仰向けのまま空中で自転車こぎの動作をする、③同じく仰向けのまま膝を立て、左右に倒して腰をストレッチする、④腹ばいになって上半身をそらす──というメニューを合わせて3分程度、1日3回励行するよう指導しています。患者さんのモチベーションアップのため、お渡ししているワークブックに実施した回数を記録してもらっています。

最初にお話ししたように、パーキンソン病の治療では患者さんごとにケースバイケースの対応が求められます。時には患者さんのご希望を軌道修正し、衝動制御障害などが起これば周りのご家族のご意見に耳を傾けて治療を調整します。患者さんとご家族の人生に寄り添った治療をめざしていますので、手を携え、ともに歩んでいきましょう。

病院名および診療科 自治医大ステーション・ブレインクリニック
住所 〒329-0403 栃木県下野市医大前3-2-2 3F
電話番号 0285-37-8721
医師名 藤本 健一(ふじもと けんいち)先生
ホームページ http://www7b.biglobe.ne.jp/~jsbc/外部リンク

※ 掲載情報は取材当時の内容となりますので予めご了承ください。