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ドクターからのメッセージ 高血圧治療のポイント 先生が高血圧治療のポイントを、Q&A形式で分かりやすくお話します。 みなさまの日々の健康維持にお役立て下さい。実際にどのような治療を行うのか、日常生活では何に気をつければよいかなど、みなさまの疑問にお答えします。

※ 掲載情報は取材当時の内容となりますので予めご了承ください。

ドクターのご紹介

関東 群馬県

高血圧の治療を安心して続けるために、お薬の副作用についても知っておいてください。

北関東循環器病院
副院長
高山 嘉朗 先生

ドクターからのメッセージ

Q1. 高血圧を放置しておくことの危険性、さらに先生が合併症予防のために患者さんに伝えていることがあれば教えてください。

Answer
現在、日本には約4,000万人の高血圧患者さんがいるといわれています。高血圧は診断が簡単ですし、よいお薬がありますので、血圧を下げること自体は難しいことではありません。ところが、高血圧には自覚症状が少ないため、血圧が高いことに気づかないでいたり、せっかく治療を始めても途中で止めてしまう患者さんが少なくありません。なかには、脳卒中や心臓病などを発症するまで高血圧を放置していたという患者さんも見られます。

高血圧の治療の目的は血圧を下げることが第一ですが、本当の狙いは脳卒中や心臓病などの合併症を予防することです。そのためには、一時的に血圧を下げればよいのではなく、長期的にしっかり下げることが重要です。治療を医師まかせにせず、一人ひとりの患者さんが高血圧の正しい知識を持って、治療に取り組んでいただきたいと思います。

一般的に、高血圧の多くは30~50歳代で発症しますが、症状がなく、徐々に血圧が高くなるため、いつ発症したのかはっきりしません。最初は血圧が高いだけですが、その状態が何年か続くと、やがて心臓が肥大化したり、脳、腎臓、眼底などの細い動脈の壁が厚くなったり、もろくなったりします。さらに放置しておくと、心不全や脳出血を起こしたり、腎機能が低下して尿にタンパクが出たりするようになります。動脈硬化が進み、血管内腔(血管内側の血液の通り道)が狭くなって閉塞することもあります。これが脳動脈で起きると脳梗塞、冠動脈(心臓の動脈)で起きると心筋梗塞になります。

さらに、高血圧のほか、血中コレステロール高値(脂質異常症)、糖尿病、肥満、喫煙習慣などの「危険因子」がある患者さんでは、脳卒中や心臓病になる危険がいっそう高いことが分かっています。危険因子は、心臓病予防のために行われた米国の疫学調査から生まれた概念で、この研究から、危険因子を多く持った人ほど心筋梗塞や狭心症になりやすいことが明らかとなりました。したがって、脳卒中や心臓病の予防においては、自分がどの危険因子を持っているかきちんと調べたうえで、高血圧以外のその他の危険因子もあわせて管理し、取り除いていく努力が必要です。高血圧以外の危険因子の管理も降圧薬を飲むのと同じように重要であること、特に肥満や喫煙習慣については、医師が治すのは難しく、患者さんの努力にかかっているということも、ぜひ覚えておいていただきたいと思います。

Q2. 高血圧の治療を継続して行うことの重要性について教えてください。

Answer
降圧薬は、高血圧の原因を取り除き、治すためのお薬ではありませんので、服用を止めれば血圧は再び上がってしまいます。脳卒中や心臓病を予防するためには、血圧を下げたままの状態を保っておく必要があります。したがって、降圧薬にも「何年飲めばよい」という期限はありません。高血圧の治療を始める際、患者さんによく「降圧薬は一生飲み続けなければいけないのですか」と質問されることがあります。そんな時、私は「継続していただくことが大切ですが、なかには降圧薬を止めることができる患者さんもいます。ですから、悲観せず、根気よく治療に取り組んでください」とお話しするようにしています。

実際、降圧薬を止めることができる患者さんは1割程度います。減塩食や運動療法、減量、肥満の改善などによって、血圧が下がった状態を維持できれば、降圧薬が不要になることもあります。ただし、血圧が下がってきたからといって、自己判断で勝手に服用を中止してはいけません。主治医の先生の指示があるまでは、正しく服用するようにしてください。

降圧薬にはさまざまな種類があり、私たち医師は、患者さんの体質や高血圧のタイプを見極めながら、一人ひとりの患者さんに合ったお薬を処方しています。お薬の飲み間違いや飲み忘れをなくすため、1日1回服用で済む長時間作用型の降圧薬や作用の異なる2種以上のお薬を1剤にした合剤を用いるなど、服用回数や種類を減らす工夫をしていますが、他にも「飲みにくい」と感じること、困っていることがあれば、気軽にご相談ください。

Q3. 薬物療法を始めたら、どんなことに注意すべきですか。

Answer
降圧薬は比較的安全なお薬ですが、副作用が全くないとはいえません。長期間飲むこともあり、安全に治療を続けるためにも、副作用の有無を定期的にチェックする必要があります。副作用対策として、まず、副作用に早く気づくことが大切です。そのためにも、降圧薬の主な副作用についての知識を、患者さん自身に身につけていただきたいと思います。

【降圧薬の主な副作用】
(1)自覚的に気づくもの:(食欲低下、眠くなる、だるくなる、咳が出る、など)
(2)簡単な観察で見つかるもの:(発疹が出る、むくみが出る、脈が極端に遅くなる、など)
(3)血液検査などで見つかるもの:(肝機能障害、白血球減少、血清カリウム低下、血清尿酸上昇、血糖上昇、など)

主治医の先生からあらかじめ、「このお薬を飲むと咳が出るかもしれません」「男性でも乳房が大きくなる場合があります」などの注意があった場合は、そうした症状がないかよく注意して、気になることがあれば早めに受診しましょう。早期発見できれば、ほとんどの副作用は跡形もなく治ります。

長期間、安心して治療を続けるためにも、定期的な副作用のチェックはとても大切です。新しいお薬を飲み始めたら、1~2ヵ月の間に採血などを行って副作用が出ていないか確認し、以後、4~6ヵ月ごとに検査を行うとよいでしょう。

最後に―、高血圧は長く付き合っていかなくてはならない病気です。いろいろな心配や不安もあると思いますが、分からないことは何でもお話ししてください。何がいけないのか、どうしたらよいのか、一緒に考えていきましょう。私は、同じ病気を克服するための「同志」「仲間」として、患者さんと同じ目線で診察にあたっています。これからも、患者さんと喜びも悲しみも共有しながら、一緒に治療に取り組んでいきたいと思っています。

病院名および診療科 北関東循環器病院
医師名 高山 嘉朗 先生
ホームページ http://www.ccj.or.jp/外部リンク

※ 掲載情報は取材当時の内容となりますので予めご了承ください。