大日本住友製薬
Innovation today, healthier tomorrows

ドクターからのメッセージ 高血圧治療のポイント 先生が高血圧治療のポイントを、Q&A形式で分かりやすくお話します。 みなさまの日々の健康維持にお役立て下さい。実際にどのような治療を行うのか、日常生活では何に気をつければよいかなど、みなさまの疑問にお答えします。

※ 掲載情報は取材当時の内容となりますので予めご了承ください。

ドクターのご紹介

関東 千葉県 佐倉市

臓器障害や心筋梗塞・脳梗塞等の重大な合併症に発展しないように、高血圧は早めにしっかりと治療しておきましょう。

だて内科クリニック
院長
伊達 太郎先生

ドクターからのメッセージ

Q1. 貴院と、来院される高血圧患者さんの特徴について教えてください。

当院は、2013年に千葉県佐倉市に開業して以来、循環器科を中心とした総合内科として地域医療に携わってきました。院内には、心電図・24時間ホルター心電図・超音波診断装置(心臓、頸動脈、腹部エコー)・睡眠時無呼吸症候群簡易検査装置・迅速血液検査装置・CR(デジタル画像形成装置)・呼吸機能検査装置などを備え、検査から診断、そして治療までが一貫して行える設備を整えています。もちろん、高度な医療が必要な場合には、近隣の大学病院などと連携して対応にあたるようにしていますが、当院で行える範囲の診療はなるべく当院で行い、まるでコンビニエンスストアのように患者さんが気軽に受診でき、ワンストップで治療が完結できるようなクリニックを目指しています。

もともと大学病院で不整脈の専門外来を担当していたため心房細動等の不整脈を有する患者さんを多く診療していますが、高血圧を合併しているケースがやはり多いと思います。心房細動は心房内での電気の流れに異常を来す不整脈のひとつで、高齢化とともに近年増加している病気です。心房細動になると、心臓の中で血液が滞ることで血栓という血の塊ができてしまいます。この血栓が血流に乗って脳などの動脈に流れ込み、血管をふさいでしまうと塞栓症(脳であれば脳梗塞)を引き起こします。心房細動によって起こる脳梗塞を“心原性脳塞栓症”といい、75歳以上の高齢の方、あるいは高血圧・糖尿病・心不全・脳梗塞の既往がある方では、その発症リスクがさらに高まるとされています。したがって、心房細動がある高血圧患者さんでは、寝たきりの原因ともなる心原性脳塞栓症の発症を防ぐための治療が重要となりますし、血圧のコントロールも非常に大切になってくるのです。

Q2. 高血圧と心房細動の関係、ならびに心房細動がある高血圧患者さんへの対応について教えてください。

高血圧になって心臓に負荷がかかった状態が長く続くと、心臓の左房と呼ばれる部分が拡大し一部が線維に置き換わってしまいます。やがては心房細動を引き起こす原因ともなる期外収縮という不整脈も出て心房細動が持続するようになってしまいます。事実、疫学的にも心房細動と高血圧には強い関連があることが示されています。

私は以前、カテーテルアブレーションという、不整脈に対するカテーテル治療を大学病院で行っていました。この治療を受けるべきか検討するために他院より紹介されてきた患者さんの中には血圧が高い方もいて、血圧をコントロールするだけで心房細動がほとんどみられなくなったケースも時折経験しました。高血圧と心房細動の密接な関連性を再認識させられると同時に、心房細動のある高血圧患者さんには、血圧を至適なレベルまでなるべく下げるような治療が特に重要だと思うようになりました。また、心房細動患者さんには、心原性脳塞栓症の発症予防のために抗凝固薬(血栓をできにくくするお薬)を使用するのですが、血圧が高い状態で抗凝固薬を投与すると、心原性脳塞栓症の発症リスクと抗凝固薬の副作用である出血リスクの両方が高くなってしまいます。このようなことから、私は心房細動がある高血圧患者さんには、収縮期血圧(上の血圧)が130mmHg、拡張期血圧(下の血圧)が80mmHgを目標とした厳格な降圧治療を行うようにしています。

Q3. 高血圧治療の実際について教えてください。

健康診断などで、『血圧が高い』と指摘された初診患者さんには、その検診データや家庭血圧手帳をクリニックに持参してもらい、本当に高血圧なのか、高血圧だとすれば原因が何かや併存疾患がないのかを調べるようにしています。高血圧には、“本態性高血圧”と、他の病気が原因で血圧が上昇する“二次性高血圧”があるのですが、たとえば眠っている間に呼吸が止まる“睡眠時無呼吸症候群”も二次性高血圧の一つの原因となります。このため、高血圧の診療では、睡眠時無呼吸症候群を含めた二次性高血圧の可能性を探るために、問診の際に昼間の眠気、いびき等について尋ねたり、血液検査でホルモン値の異常がないかを確認したりすることもあります。

そうした詳しい問診や検査の結果診断を行い、治療することになります。ただその際も、いきなり血圧を下げる降圧薬での治療を始めるのではなく、生活習慣を改善したり、治療の必要性や今後の見通しについて患者さんとよく話し合ったりして治療方針を決めていきます。

高血圧診療では、診察室血圧だけでなく患者さんに家庭で測定していただく家庭血圧の値を指標にして、治療の方針を決めていきます。したがって、患者さんが家庭できちんと血圧を測定できていることが大前提となりますので、自宅での血圧測定法の指導には力を入れています。

高血圧と診断されれば、基本的に生活習慣の改善が必要となります。しかし、いきなり食事の内容を大きく変えたり、今までしていなかった運動を始めたりするのはなかなか難しいものです。最初から高い目標を設定してもその実践は難しいと思いますので、まずは気軽にできることを提言するようにしています。具体的には、『塩分(ナトリウム)の排泄作用があると言われるカリウムを多く含む食事(野菜や果物)を採るようにしましょう』『1日トータルで30分程度の散歩など、軽い運動をしてみましょう』『体重を1kg落とすと血圧が1mmHg弱下がると言われているので、まずは2~3kg減量することから始めてみましょう』などと患者さんに提案するようにしています。

次に高血圧に対してお薬を飲む場合ですが、きちんと継続するためにはお薬の飲みやすさも重要と考えます。特に高齢者の患者さんの中には何種類ものお薬を飲んでいることも多く、きちんと服用できていないケースも少なくありません。そこで私は、複数の降圧薬が配合されている薬剤を処方したり、お薬の数や服用回数を減らしたりして、なるべくシンプルな処方にするよう心がけています。服薬するお薬の錠数が減り、心理的な負担が減るだけで治療へのモチベーションが上がる患者さんもおられます。もしもお薬を飲むのが負担に感じられたら、一度、かかりつけ医に相談されてはいかがでしょう。

Q4. 地域の患者さんへのメッセージをお願いします。

高血圧を放置しておくと、やがて腎臓や心臓、脳などにさまざまな障害があらわれるようになります。こうした重要な臓器にひとたび大きな障害が起きると、元には戻せないことが多いものです。たとえば、脳梗塞で重症の場合には死に至ることもあります。つまり、ひとたび重大な臓器障害が起こってしまうと、残念ながら病気が起こる前とまったく同じ状態には戻ることはできないのです。高血圧治療の真の目的は、高血圧により不可逆的な臓器障害が生じる段階(“Point of No Return”とも言い換えることができるかもしれません)を超えないよう、血圧を適正な範囲内できちんとコントロールすることにあります。

『血圧が高め』と言われた早い段階から、生活改善をしたり、家庭血圧を測定したり、定期的にかかりつけ医のヘルスチェックを受けたりすることが大切です。みなさんの腎臓や心臓、脳といった大切な臓器を守り、健康寿命を延ばすために、かかりつけ医と一緒に高血圧に向き合っていただければと思います。

病院名および診療科 だて内科クリニック
住所 千葉県佐倉市上志津2007-1
電話番号 043-497-5208
医師名 伊達 太郎先生
ホームページ http://date-naika.com/外部リンク

※ 掲載情報は取材当時の内容となりますので予めご了承ください。