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ドクターからのメッセージ 高血圧治療のポイント 先生が高血圧治療のポイントを、Q&A形式で分かりやすくお話します。 みなさまの日々の健康維持にお役立て下さい。実際にどのような治療を行うのか、日常生活では何に気をつければよいかなど、みなさまの疑問にお答えします。

※ 掲載情報は取材当時の内容となりますので予めご了承ください。

ドクターのご紹介

関東 埼玉県 入間郡

高血圧は自覚症状のないままに脳、心臓、腎臓などの臓器を障害します。生活習慣の改善や治療によって血圧を目標値まで下げ、脳卒中や心臓病を予防しながら“健康長寿”を目指しましょう。

埼玉医科大学病院 内分泌内科・糖尿病内科
准教授
一色 政志先生

ドクターからのメッセージ

Q1. 「血圧は低いほうがよい」と言われていますが、どのくらいまで下げればよいのですか。

高血圧の問題点は、放置すると自覚症状のないままに血管がダメージを受けて、やがて脳、心臓、腎臓といった重要な臓器を障害していくことにあります。こうした障害が進むと、脳梗塞や脳出血、心筋梗塞や狭心症といった命にかかわる病気を引き起こしたり、腎不全となって透析が必要になったりします。また、高血圧の状態が持続すると、糖尿病や骨折を発症する確率が高まることが知られています。さらに、最近では認知症との関係も指摘されるなど、高血圧はさまざまな病気の引き金にもなると考えられています。

超高齢社会を迎えるにあたって、これらの病気を予防しながら健康に過ごすということは非常に大切なことです。特に日本人は脳梗塞の発症が多い人種ですので、脳梗塞との強い関連のある血圧を下げるということは、予防の観点からとても意義があることだと思います。

みなさんは、「血圧は低い方がよい」ということはよくご存知だと思います。しかし、「どのくらいまで血圧値を下げるのが望ましいか」という、具体的な数値目標までご存知の方というのはまだ少ないのではないでしょうか。脳卒中や心臓病を予防するため目標とすべき血圧値は、家庭血圧計を使って自宅で測定した家庭血圧で135/85mmHg未満、糖尿病を合併している人は125/75mmHg未満です。患者さんのなかには、これらの目標値には達していないにもかかわらず「私は高血圧の薬を飲んでいるからもう大丈夫」と考えている人もいらっしゃいます。しかし、脳卒中や心臓病の発症を予防するには、目標値に達するまで血圧をしっかりと下げることが大切です。

Q2. 血圧が高く、減塩するよう指導されましたが、どのような点に注意が必要ですか。

「減塩・適正体重の維持・運動」は、血圧を下げるのみならず、糖尿病や脂質異常症、肥満といったそのほかの合併症の状態も改善することから、積極的に行っていただきたい生活改善のための取り組みです。なかでも、高血圧患者さんにとって“減塩”は大きな課題です。日本人は世界的に見て“Salt eaters”と呼ばれるほど塩分摂取量の多い人種であり、塩分の過剰摂取は高血圧治療を難しくする大きな要因となっています。日本高血圧学会では高血圧患者さんの1日あたりの塩分摂取量を6g未満とすることを推奨していますが、現在の日本人の平均塩分摂取量は1日あたり10~11gとなっており、ここにはいまだ大きな開きがあります。
減塩をうまく継続するコツのひとつは、徐々に塩分を減らすことです。塩分を急激に減らすと食事の味が変わってしまうので、患者さんは続けるのが難しいと感じてしまいます。しかし、少しずつ塩分減らしていくと、人間の舌が徐々に慣れていくため継続しやすいようです。また、最近では食品のパッケージにナトリウムの含有量が表示されるようになり、塩分量の目安として参考にしやすくなりました。ただし塩分量はこのナトリウム量を2.5倍したものですので、注意が必要です。たとえばナトリウム1g含有と表示があれば、その食品に含まれる塩分量は2.5gであると考えてください。
塩分摂取量を1日6g未満に押えるのは非常に高い目標ではありますが、減塩の努力によって血圧値が4~5mmHg低下するだけでも、脳卒中などの疾患を予防する効果はかなり期待できます。また、降圧薬の種類によっては、減塩することで薬の効き目がよくなることもあります。また、血圧が下がれば降圧薬を減らし、経済的な負担も軽減できる可能性があるなど、減塩にはさまざまな恩恵があるといえるでしょう。

Q3. 処方された降圧薬をきちんと飲んでいますが血圧が十分に下がりません。何か他に原因があるのでしょうか。

高血圧には加齢などに伴って起こり、原因が特定できない“本態性高血圧”と、何らかの原因によって血圧が高くなる“二次性高血圧”があります。このうち二次性高血圧は降圧薬による治療だけでは十分に血圧が低下せず、原因を取り除くことで血圧が下がることがあります。たとえば、20人に1人の割合でみられる原発性アルドステロン症は、副腎にできた腫瘍が原因でアルドステロンというホルモンの分泌が過剰になり、それが原因で血圧が高くなってしまう病気です。これを発見するには、血液検査や各種画像検査のほか、必要に応じて副腎の近くにカテーテルを挿入して行う副腎静脈血サンプリングという検査が必要になることもあります。精査の結果、原発性アルドステロン症であると判明すれば、薬物治療や重症例では手術で腫瘍を摘出するなどの治療を行います。二次性高血圧には原発性アルドステロン症のような病気のほかに、一部の漢方薬などに含まれる成分などが原因で引き起こされることもあります。もしきちんと降圧薬を飲んでいても血圧が十分に下がらない場合には、一度、専門医に相談したほうがよいでしょう。

Q4. 地域の高血圧患者さんにメッセージをお願いします。

高血圧や糖尿病は早期に治療開始することができれば、血管や臓器への障害を最低限に抑え、治療によってこれらを元の状態に戻すことが可能です。一方で、血圧値や血糖値の高い状態を長く続けて臓器障害が進んでしまうと、その後、どんなに治療を行っても元の状態に戻すことはできません。そこで、まずは家庭血圧を測定する習慣をつけ、早期に高血圧を見つけること、そして生活習慣の改善や治療を行いながら血圧が目標値まで低下しているかどうかを確認することが大切だと思います。

この半世紀の間に数多くの優れた降圧薬が開発され、患者さんの状態に合わせた高血圧治療が行えるようになりました。患者さんのなかには「薬を一生飲まなくてはいけないなんて嫌だ」と考える方もいらっしゃいますが、私は薬を飲み続けることで、一生元気でいられるのであれば、治療を行うメリットは非常に大きいものだと思います。もし、家庭血圧を測定して140/90mmHg以上の値が頻繁にみられるようであれば早めに病院を受診し、適切な治療を受けながら“健康長寿”を目指していきましょう。

病院名および診療科 埼玉医科大学病院 内分泌内科・糖尿病内科
住所 埼玉県入間郡毛呂山町毛呂本郷38
電話番号 049-276-1111
医師名 一色 政志先生
ホームページ http://www.saitama-med.ac.jp/hospital/外部リンク

※ 掲載情報は取材当時の内容となりますので予めご了承ください。