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ドクターからのメッセージ 高血圧治療のポイント 先生が高血圧治療のポイントを、Q&A形式で分かりやすくお話します。 みなさまの日々の健康維持にお役立て下さい。実際にどのような治療を行うのか、日常生活では何に気をつければよいかなど、みなさまの疑問にお答えします。

※ 掲載情報は取材当時の内容となりますので予めご了承ください。

ドクターのご紹介

関東 神奈川県 相模原市

血圧手帳は、運動や減塩といった生活習慣の改善ができているか、降圧薬をきちんと服用できているかを確認するための降圧治療の“成績表”です。かかりつけ医の先生と一緒に降圧治療に積極的に取り組みましょう。

相模原協同病院 循環器内科
副院長 循環器センター長
井關 治和先生

ドクターからのメッセージ

Q1. “早朝高血圧”と言われましたが、これはよくない症状なのですか?

血圧は1日中、一定の値を保っているというわけではありません。通常、血圧は夜寝ている間は低く、朝方から午前中にかけてゆっくりと上昇し、昼間は高くなっています。しかし、“早朝高血圧”の患者さんは、朝方に測定した家庭血圧の平均値が135/85mmHg以上と高くなってしまっています。早朝は、身体が一日の活動準備に入るためカテコラミンが放出され、血圧が上昇しやすいといわれています。しかし、この時間帯は、夜寝ている間に水分が汗となって発散されて脱水状態を引き起こし、ドロドロになった血液が血管にストレスをかけているため身体には危険な時間帯なのです。

早朝高血圧になると、血管にさらに負担がかかるため、心臓や脳といった命にかかわる臓器の病気になりやすいと言われています。明け方に脳卒中や心筋梗塞、大動脈解離といった重大な病気が発症することが多いのは、この早朝高血圧が原因と考えられています。したがって、こうした命にかかわる病気の発症を予防し、健康な生活を維持していくために、早朝高血圧と言われれば、かかりつけ医の先生と相談して適切な降圧治療を始めるのがよいでしょう。

Q2. ときどき家庭血圧の値が急に高くなることがあり、心配です。

高血圧の患者さんは、毎日、朝・晩2回ずつ家庭血圧を測定し、その平均値を血圧手帳に記録するよう医師から指導されることが多いと思います。家庭血圧を記録し続ければ、血圧の変化の流れを知ることができます。また、降圧治療を行っている患者さんでは、治療がうまくいっているかを判断するのにも役立ちます。

ときどき、急に高くなった血圧の値に驚いて病院に駆け込む患者さんがいらっしゃいます。しかし、1回ごとの数値の高低に一喜一憂する必要はありません。血圧は、身体の活動状況や感情の変化、外気温などに影響されて、高くなったり低くなったりと常に変動しています。人間は機械ではないので、ときには血圧の値が大きく揺らぐこともあります。しかし、多くの場合、心配がない範囲内での変動にとどまるので安心してください。ただし、家庭血圧が150/100mmHg以上の状態が1週間以上続くようであれば、かかりつけの先生に相談したほうがよいでしょう。

Q3. 食事療法と運動療法はどのようにすればいいでしょうか?

高血圧の程度や合併症の有無にかかわらず、すべての高血圧患者さんにとって必須なのは生活習慣の改善です。具体的には、減塩を中心とした食生活の改善と、速歩(早足のウォーキング)などの適度な運動に取り組んでいただくことになります。

中でも血圧への影響が大きいのは減塩への取り組みです。世界保健機構(WHO)の基準で理想とされる塩分摂取量は1日あたり5g未満、日本の高血圧治療ガイドライン2014では減塩目標値を6g/日未満としています。しかし、現在、日本人の平均塩分摂取量は男性10.9g/日、女性9.2g/日で、これらの目標値を大きく上回っています。これは、日本人の食生活においては、塩分を多く含む味噌や醤油といった調味料を使う機会が多いためだと考えられます。よって、毎日の食事において、調理法を含めてできるだけ塩分摂取を減らす工夫が必要となります。日本高血圧学会では、「高血圧患者さんのための減塩食レシピ」という書籍を発行しているほか、ホームページ(http://www.jpnsh.jp/general_salt.html)でも食塩含有量の少ない食品を紹介しているので参考にしてみてください。

また、適度な運動を継続的に行うことも大切です。お勧めは、脈拍が100回/分を少し超える程度の速さで行う速歩(早足のウォーキング)です。これを毎日30分間、1週間継続すると、距離にしておよそ22kmを歩くことになります。激しい運動は長続きせず、また足腰を痛める原因にもなります。実は、私も体調を崩したことをきっかけにジム通いを始めました。これまでに1年半以上、仕事が終わってから2日に1度、ジムで1時間程度、汗を流しており、今ではすっかりこれが習慣になりました。この自身の経験をもとに、私は患者さんに『私も運動を続けています。一緒にがんばりましょう』と声を掛けるようにしています。高血圧の患者さんで収縮期血圧(上の血圧)が180mmHgを超えていなければ、身体に負担がかからない程度の運動を習慣づけていただきたいと思います。

Q4. 高血圧患者さんへメッセージをお願いします。

血圧をコントロールするためには、①生活習慣の改善、②運動療法、③薬物療法が3本柱となります。私は、患者さんに『日々、減塩などの食生活の改善を心がける、適度な運動をする、医師に処方された降圧薬をきちんと服用する、そして修行僧のように生活環境を整えることができれば血圧は下がります』『血圧手帳は、あなたの成績表のようなものです。これを見れば、生活習慣の改善や服薬がきちんとできているかどうかが分かります』と伝えています。

確かに、日々の生活の中で家庭血圧を測定・記録したり、生活環境を整えたり、さらには決められたとおりに降圧薬を服用したりするのは、それらが習慣になるまで“きちんとやり続ける”というのはなかなか難しいものです。しかし、血圧の適切なコントロールは、心臓病や脳卒中といった命にかかわる重大な病気を予防するためにとても大切なことです。ときには『このままの状態ではまずい』という患者さん自身の危機感が生活習慣を変えたり、降圧治療を続けたりするための原動力になることもあります。その一方で、患者さんの努力などによって、ひとたび『うまく血圧コントロールできている』『血圧が下がった』という成功体験が得られれば、患者さんはさらによい状態を保とうと一層、血圧コントロールに力を入れていただけるようです。

医師は、患者さんの気持ちに寄り添って一緒に降圧治療に取り組む用意があります。困ったことや心配事があれば、遠慮なくご相談ください。なお、ご相談の際は、予め医師に相談の時間があるかを確認し、医師に聞きたいことをメモにまとめて持参されるとよいでしょう。

循環器内科では、たとえば透析導入を検討するような末期の腎臓病や、インスリン治療が必要な重度の糖尿病などを除いては、高血圧に合併した腎臓病や糖尿病も含めて“総合内科的な診療”を行っています。同様に、かかりつけ医の先生方も“総合内科的な診療”を行っておられます。このため、日々の高血圧診療は、かかりつけ医の先生方に対応していただき、何か専門的な検査や診療が必要となれば、かかりつけ医からの紹介の上、病院の循環器内科を受診していただければと思います。

病院名および診療科 相模原協同病院 循環器内科
住所 神奈川県相模原市緑区橋本2-8-18
電話番号 042-772-4291
医師名 井關 治和先生
ホームページ http://www.sagamiharahp.com/外部リンク

※ 掲載情報は取材当時の内容となりますので予めご了承ください。