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ドクターからのメッセージ 高血圧治療のポイント 先生が高血圧治療のポイントを、Q&A形式で分かりやすくお話します。 みなさまの日々の健康維持にお役立て下さい。実際にどのような治療を行うのか、日常生活では何に気をつければよいかなど、みなさまの疑問にお答えします。

※ 掲載情報は取材当時の内容となりますので予めご了承ください。

ドクターのご紹介

近畿 滋賀県 大津市

「血圧が高いときのほうが、体の調子がよいように感じる」というのは、危険な誤解です。
血圧に関する正しい知識を持って、積極的に治療に向き合っていきましょう。

大津赤十字病院 循環器科
医長
陣内 俊和先生

ドクターからのメッセージ

Q1. 「血圧が高い」と言われましたが、体調は悪くありません。それでも血圧を下げなくてはならないのですか。

日常診療において、「血圧が高いときのほうが、体の調子がよいように感じる」と話す患者さんに出会うことがあります。しかし、高血圧を放置すると心臓病や脳卒中を発症する危険性が高くなることは、さまざまな研究において明らかになっています。

したがって、“血圧が高くても大丈夫”という思い込みは、命にかかわる重大な病気を引き起こす可能性のある「危険な誤解」と言うべきかもしれません。高血圧には主だった自覚症状がないため、治療が必要だと言われても、なかなか実感がわかない方もいらっしゃるかと思います。しかし、血圧を下げることは、命にかかわる病気の発症を予防しながら、健康な生活を維持していくために非常に大切なことなのです。

また、心筋梗塞や狭心症といった疾患では、動脈硬化で狭くなった血管を小さな風船で広げるカテーテル治療や、新しい血管で血液の迂回路をつくる心臓バイパス手術などの治療が行われます。もちろん、こうした専門的な治療を行えば、病気の原因となった部分を治すことはできますが、全身の血管で起こっている動脈硬化を治療することはできません。したがって、血圧を下げるというのは全身の血管を守ると言う意味でも不可欠なことだと認識していただきたいと思います。

Q2. 血圧を下げるために、日常生活ではどのようなことに気をつければよいですか。

最も大切なことは、患者さんが自身の血圧に興味をもって向き合うということです。まずは家庭血圧を測定して、日常の血圧値を把握するところから始めてみましょう。家庭血圧を朝と夜にそれぞれ測定すれば、1日の中での血圧の変化を知ることができます。また、薬物治療が必要かどうかを判断するのにも役立ちます。1回ごとの数値の高低に一喜一憂する必要はありませんが、家庭血圧が135/85mmHg以上の状態が長く続くようであれば、かかりつけの先生に相談したほうがよいでしょう。

また、高血圧の程度や合併症の有無にかかわらず、すべての患者さんにとって重要なのは生活習慣の改善です。具体的には、減塩、減量、運動、節酒、禁煙、ストレス管理などに取り組んでいただきます。中でも血圧への影響が大きいのは減塩への取り組みです。世界保健機構(WHO)の基準で理想とされる塩分摂取量は1日あたり5g未満なのですが、日本人の平均塩分摂取量は1日あたり10gを超えており、減塩は急務の課題です。味付けの濃いおかずを避ける、ラーメンの汁を残すなど、できるだけ塩分摂取を減らす配慮が必要です。なお、食事内容をどのように変えるのが効果的かについては、患者さんの家庭の環境や生活スタイルなどによっても異なりますから、専門知識のある栄養士から個別指導を受けるのがよいと思います。当院でも食事療法に関するパンフレットを配布するなど、患者さんにとってわかりやすく、相談しやすい環境を整えるようにしています。

さらに、継続的な運動も血圧の低下のみならず、心肺機能の改善など多方面によい影響を及ぼすのでお勧めです。スポーツジムに通うのもよいのですが、専門的な器具を使った運動を行わなくても、自宅の周辺で散歩を兼ねた少し早足のウォーキングを行うなど、軽く汗ばむような運動を1日20~30分続けてみてください。「運動して気持ちがいいな」と爽快感が得られる程度の運動は心身ともに好影響を与えます。

Q3. 病院ではどのような検査や高血圧の治療を行いますか。

高血圧治療の中心は生活習慣の改善と薬物治療になりますが、すべての患者さんで直ちに薬物治療を開始するわけではありません。まずホルモンの異常など特殊な原因によって起こる二次性高血圧が潜んでいないかを検査し、そのうえで、心臓や腎臓、脳の障害の程度、合併症の有無から重大な病気を発症するリスクを評価し、薬物療法が必要かどうかを検討します。このとき、家庭血圧の情報があると役立ちますので、記録したものを持参するとよいでしょう。

高血圧の治療目標値は、診察時血圧140/90mmHg、家庭血圧135/85mmHg未満です。ただし、糖尿病や腎臓病といった合併症のある患者さんは、通常よりも心臓病や脳卒中を発症するリスクが高いため、さらに低い血圧を目指して治療を行うこともあります。また、高齢の患者さんではもう少し高めの数値を目標とするなど、それぞれの患者さんに合った目標値を設定します。降圧薬は、患者さんの高血圧の特徴に合わせて選択されますが、朝だけ服用するタイプの薬剤を用いるなど、できるだけ飲み続けやすいような配慮も行っています。降圧薬の服用を始めると、家庭血圧でも血圧の低下を実感できると思いますが、必要以上に家庭血圧を気にしすぎるのも禁物です。もし血圧値や治療に対して心配事や疑問があるときには、まずは主治医の先生に相談してみてください。

Q4. 地域の高血圧患者さんへメッセージをお願いします。

血圧の適切なコントロールは、心臓病や脳卒中といった命にかかわる重大な病気を予防し、健康的な生活を維持するために欠かせないことです。その一方で、高血圧の治療は長期間にわたって気長に向き合っていく必要があるため、時には不安になったり、治療を止めたくなったりすることもあるかもしれません。そこで私は体調のちょっとした変化や薬物治療に対する疑問などを気軽に質問できる“かかりつけ医”を持つことが大切だと考えています。こまめに身近な先生のところに通院し、不安を解消しながら、体調や季節に合わせて細かく薬の調節を行っていくことが、治療を長続きさせるコツだと思います。

当院では、患者さんが前向きに高血圧治療に取り組めるよう、スタッフ全員で患者さんに寄り添いながら治療をサポートするとともに、治療を継続しやすいよう地域の開業医さんと連携しながら、重大な合併症を未然に防ぐための診療を行うことを心がけています。

患者さん自身も血圧に関する正しい知識をもって治療に向き合い、いつまでも健やかに過ごせるよう頑張っていきましょう。

病院名および診療科 大津赤十字病院 循環器科
住所 滋賀県大津市長等一丁目1-35
電話番号 077-522-4131
医師名 陣内 俊和先生
ホームページ https://www.otsu.jrc.or.jp/外部リンク

※ 掲載情報は取材当時の内容となりますので予めご了承ください。