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ドクターからのメッセージ ファブリー病治療のポイント

※ 掲載情報は取材当時の内容となりますので予めご了承ください。

ドクターのご紹介

循環器内科

中国・四国高知県南国市

高知大学医学部
老年病・循環器内科学 講師
久保 亨(くぼ とおる)先生

ドクターからのメッセージ

ファブリー病は心臓や腎臓などにも障害が及ぶ進行性の病気です

老年病・循環器内科では、高齢化率が30%を超える高知県において、老年医学的側面からのアプローチを取り入れた循環器内科診療・研究を実践しています。心臓・血管の病気全般に対する高度・専門的な医療を提供しており、心筋症の治療にも注力してきた歴史を有しています。心筋症の発症原因のひとつであるファブリー病の診療にも積極的に取り組んできました。

ファブリー病は、糖脂質を分解するα-ガラクトシダーゼ(α-Gal)という酵素の遺伝的欠損、あるいは働き(活性)の低下により、分解されなかった糖脂質が細胞内に異常蓄積することによって引き起こされる病気です。古典型では小児期に四肢末端痛(手足の痛み)、低汗症(汗をかきにくい)、被角血管腫(赤紫色の発疹)などが現れ、成人以降に心臓・腎臓・脳の重要臓器にも障害が及びます。一方、遅発型では主に中年期以降、各重要臓器にほぼ限定して障害が現れます。女性は通常、男性に比べて軽症で進行も緩やかですが、なかには男性同様に重症化することもあります。

血液中の酵素活性測定や遺伝子検査、病理検査等によって診断

当科では遅発型で、心障害が主体のファブリー病を中心に診療しています。このタイプのファブリー病は心臓の筋肉が厚くなり、ポンプ機能が十分に果たせなくなる心肥大を特徴とし、徐々に悪化することで心不全や致死性の不整脈に至ります。古典型のような全身性の症状を呈さないため、発見が遅れがちになることが課題となっています。

心筋症を引き起こす病気はファブリー病以外にも数多くあるため、心筋症が認められる場合はその原因を探るために精密検査が行われます。心エコー検査や心電図検査などによってファブリー病の可能性が否定できない場合、血液中の酵素活性を測定します。男性は酵素活性測定でほぼ診断が可能ですが、女性は酵素活性のばらつきが大きく、血液中の酵素活性が正常であってもファブリー病のことがあるため、遺伝子検査や病理検査等の結果も参考にして診断する必要があります。

早期発見・早期治療が強く求められます

ファブリー病の治療法としては、酵素製剤を2週間に1回静脈内に点滴投与することでα-Galの活性を補う酵素補充療法があります。酵素補充療法によって、心機能の維持が期待できることが報告されています1)。進行した臓器障害に対しては治療効果が得られにくいため、早期に発見し、臓器障害が発症・進行する前に治療を開始することが望まれます。

酵素補充療法は2週間に1回の通院が必要であるため、症状が軽度で、特に生活上の困難を感じていない場合などは、治療を継続することが大変だと感じられるかもしれません。しかし、治療を中断すると心不全への進行や心臓突然死のリスクが高まりますので、継続することを強く意識していただきたいと思います。心症状に対する対症療法として、β遮断薬や抗不整脈薬の処方や、不整脈が重症化した場合はペースメーカーや植込み型除細動器(ICD)を使用しています。

ファブリー病は、早期発見・早期治療が強く求められます。早期発見により、患者さんご本人はもちろん、発症リスクを有する次の世代にも早期治療の恩恵をもたらすことができます。先に紹介した諸症状でお悩みの場合や、家族や親戚に心臓・腎臓・脳の障害を経験した方が多くおられる場合は、ファブリー病を扱う専門施設に一度ご相談ください。

  • 1)Kampmann C, et al.: Orphanet J Rare Dis 10: 125, 2015
医療機関名称 高知大学医学部 老年病・循環器内科学
住所 〒783-8505 高知県南国市岡豊町小蓮185-1
電話番号 088-866-5811
医師名 講師 久保 亨(くぼ とおる)先生
ホームページ http://www.kochi-ms.ac.jp/~fm_gratr/外部リンク

※ 掲載情報は取材当時の内容となりますので予めご了承ください。