大日本住友製薬
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ドクターからのメッセージ ファブリー病治療のポイント

※ 掲載情報は取材当時の内容となりますので予めご了承ください。

ドクターのご紹介

小児科遺伝診療

近畿大阪府大阪市

大阪市立大学医学部附属病院
小児科・新生児科 講師
瀬戸 俊之(せと としゆき)先生

ドクターからのメッセージ

治療法の開発をきっかけとして、医師の認知度が高まりつつある病気

当院小児科・新生児科は、先天代謝異常症の診断・治療で研究成果・診療実績を積み重ねてきた歴史を有しています。ファブリー病は先天代謝異常症のひとつですが、その名前を聞いたことがある方は少ないのではないでしょうか。実は医師の間でも、10~20年前までは診療する機会がある小児科医や一部の医師を除いて、あまりなじみがない病気でした。しかし、酵素補充療法という治療法が開発されたことをきっかけとして、医師の認知度が高まりつつあります。

小児期・思春期に現れる手足の痛みは「火箸を当てられるよう」と表現されることも

ファブリー病は、細胞内小器官であるライソゾームの中にあるα-ガラクトシダーゼ(α-Gal)という酵素が生まれつき働かなくなっていたり、働きが弱まっていたりすることを原因として発症する病気です。通常であればα-Galが分解するはずのグロボトリアオシルセラミド(Gb3)という物質が、分解されることなく全身の臓器・組織に蓄積し、全身に様々な症状を引き起こします。

ファブリー病の中で、小児期・思春期に発症するタイプでみられる代表的な症状としては手足の痛み、汗をかきにくい・かかない、原因がわからない発熱をくり返す、痛みを伴わない赤い発疹、角膜の濁り、難聴が挙げられます。手足の痛みはよく「火箸を当てられるような痛み」とも表現されますが、気温が高い夏場に痛みが増し、眠れなくなったり、学校を欠席せざるを得なくなったりする子どももいます。手足の痛みに悩まされているお子さんがおられましたら、ファブリー病がその原因である可能性がありますので、医師にご相談ください。

また、成人以降に発症するタイプでは、Gb3が心臓に蓄積すると心肥大や不整脈、心不全といった心症状が、腎臓に蓄積すると蛋白尿や腎機能低下が現れます。そのため、循環器内科や腎臓内科で最初にファブリー病の可能性を指摘され、発見につながることがあります。

ファブリー病の可能性を探るため、身の回りの様々なことをお聞きします

症状・所見からファブリー病が疑われた場合、その可能性をより深く探るため、問診で身の回りの様々なことを伺います。現在あるいは過去にどのような症状を経験してきたか、家族・親戚にファブリー病の方や若くして心疾患にかかった方、透析を受けている方がいないかなどについて、1つ1つ丁寧に聴き取ります。

問診によってファブリー病の疑いが強くなった場合、α-Gal酵素の働きを調べます。ファブリー病の症状の出方には性差があり、男性では酵素の働きが著しく低下していればほぼファブリー病と診断できます。一方、女性では酵素の働きが正常範囲の場合があり、症状も無症状のまま経過する方から軽度、重度の方まで幅があります。そのため酵素の働きを調べるのみでは診断を確定できず、遺伝子検査の結果も参考にして診断します。

施設全体として遺伝カウンセリングに注力

ファブリー病は遺伝性の疾患であるため、診断から治療に至る過程においては、適切なタイミングで遺伝カウンセリングを実施します。当院では患者さんとご家族をよく知る診療科として、私たち小児科がファブリー病の遺伝カウンセリングを行ってまいりましたが、私自身も臨床遺伝専門医としてその任に当たっています。

ファブリー病の例に限らず、診療現場で遺伝医学に関する高度・最先端の知識と技術を駆使することの必要性が高まっています。そうした中、当院では昨年(2016年)、遺伝医学に関する情報提供を担う部門として、遺伝診療センター(http://www.hosp.med.osaka-cu.ac.jp/gene/top.html)外部リンクが立ち上がりました。現時点では神経内科、小児科、皮膚科の各領域の遺伝性疾患を対象に専門的な診療やカウンセリングを行っています。私たち小児科もセンターの活動を支え、多くの患者さんやさまざまな科のDr.の力になれるよう努めていきたいと考えています。

できる限り早期に発見し、早期に治療を開始することが大切

ファブリー病の治療法としては、Gb3を分解する酵素を体外から補う酵素補充療法が確立しています。ファブリー病の治療目標は症状の進行を遅らせ、健康に暮らせる期間を延長することとなりますが、その目標に近づくためには、できる限り早期に発見し、早期に治療を開始することが大切です。

ファブリー病には、酵素補充療法という治療法があります。かつては治療の手だてがなかった状況から進歩してきました。今なお課題は残っていますが、その克服に向けて、医療者は研究を続けています。どうか前向きに、治療に臨んでいただきたいと思います。

医療機関名称 大阪市立大学医学部附属病院 遺伝診療センター
住所 〒545-8586 大阪府大阪市阿倍野区旭町1-5-7
電話番号 06-6645-2121(代表)
医師名 講師 瀬戸 俊之(せと としゆき)先生
ホームページ http://www.hosp.med.osaka-cu.ac.jp/gene/top.html外部リンク

※ 掲載情報は取材当時の内容となりますので予めご了承ください。