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ドクターからのメッセージ ファブリー病治療のポイント

※ 掲載情報は取材当時の内容となりますので予めご了承ください。

ドクターのご紹介

下畑 誉(しもはた ほまれ)先生

腎臓内科

関東茨城県稲敷郡

東京医科大学茨城医療センター
腎臓内科 講師
下畑 誉(しもはた ほまれ)先生

ドクターからのメッセージ

高度・専門的医療と患者さんに寄り添った地域密着医療を融合

当センターは東京医科大学の附属病院の1つとして、高度かつ専門的な医療と患者さんに寄り添った地域密着医療を融合させながら、日々、診療に当たっています。大学病院は維持透析の管理を地域の病院に依頼することが多いのですが、当センターでは100例以上の維持透析の患者さんを診療しており、特徴の1つとなっています。移植以外の、ほぼ全ての腎臓病治療に対応しています。

当科ではこれまで、約10例のファブリー病患者さんを診療してきました。私が最初に出会ったのは10年ほど前です。健診で蛋白尿を指摘された10代男性の方でした。別の1例(30代男性)も尿蛋白の訴えで来院し、ファブリー病に特徴的なマルベリー細胞が尿検査で検出されたことがファブリー病を疑うきっかけとなりました。

皮膚や神経、眼、耳、消化器のほか、脳・心・腎に症状が現れることも

ファブリー病は、細胞の中にあるライソゾームという小器官で働く酵素の1つであるα-ガラクトシダーゼ(α-Gal)の働きが遺伝子の異常によって失われたり、低下したりすることで発症する疾患です。本来、α-Galで分解されるはずの糖脂質(グロボトリアオシルセラミドなど)が分解されることなく全身の臓器に溜まることによって、臓器障害が引き起こされます。性染色体が関わるX連鎖性という遺伝形式のため、男性は重篤な症状を呈することがある一方、女性は軽症例から重症例まで様々です。

代表的な症状は、腹部や臀部に生じる発赤、汗をかきにくくなる低汗症、手先・足先の痛み、渦巻状の角膜混濁、難聴、下痢・腹痛などです。重要な臓器症状として心障害、腎障害、脳血管障害があります。こうした全身の症状や障害が小児の頃から現れる古典型と、壮年期になって腎機能低下や蛋白尿などの腎障害、心肥大や不整脈などの心障害が現れる遅発型の2つのタイプがあります。

ファブリー病の診断は、まず血液検査でα-Galの働きを調べます。男性ではα-Galの働きが正常の10%以下に低下していればファブリー病と確定診断できます。女性では原因遺伝子の保因者であってもα-Galの働きが低下していない場合があり、遺伝子検査や病理検査、家族歴などから総合的に判断します。

酵素補充療法は継続することが大切

ファブリー病治療の基本は、低下した酵素の働きを酵素製剤で補う酵素補充療法です。2週間に1回、病院での点滴静脈内注射が必要です。腎機能の低下は患者さんが自覚しにくく、見過ごされてしまいがちですが、早期に治療を開始するほど高い治療効果が期待できます。また、臓器障害の進行を抑え、生活の質(QOL)を高めるためには、酵素補充療法を継続することが大切です。古典型に多くみられる皮膚症状や手足の痛みなどには対症療法もありますので、これらを上手に組み合わせながら一緒に治療を進めていきましょう。

幼少期から症状を抱えているにもかかわらず、診断されないまま苦しんでいるファブリー病の患者さんは少なくないと思われます。遅発型でも重要な臓器が障害されるため、生命のリスクも高くなります。もしも身内にファブリー病の患者さんがおられたら、症状が出ていなくても早めに医師にご相談ください。私たちも力を合わせ、早期発見、早期治療に努めていきます。

医療機関名称 東京医科大学茨城医療センター 腎臓内科
住所 〒300-0395 茨城県稲敷郡阿見町中央3-20-1
電話番号 029-887-1161(代表)
医師名 講師 下畑 誉(しもはた ほまれ)先生
ホームページ http://ksm.tokyo-med.ac.jp/Page/Shinryou/Ippan/JinzouNaika/index/外部リンク

※ 掲載情報は取材当時の内容となりますので予めご了承ください。