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こんなことありませんか?【診断編】 CASE 6

広汎性発達障害(自閉症スペクトラム障害)

CASE 6

症例

 Fちゃんはもうすぐ3歳の男の子で、両親と3人暮らしです。幼稚園入園前の幼児が対象の教室に通い始めたところです。「ママ」「ジュー」(ジュースを指す)などの幼児語がいくつか話せますが、ほしい物がある時に、たいていは言葉よりも相手の手を引く動作で気持ちを表します。ビデオをじっと見続けている時に声をかけると、全く振り向こうとしません。そのビデオのお気に入りの場面を繰り返し見ることを喜んだり、使った食器は必ず元どおりに並べ直したりするので、言葉は遅めであるもののむしろ頭の良い子なのかと両親は思っていました。しかし幼児教室では、先生の言うことを聞いていないようで、他の子どもに関わろうとするところが全くなく、部屋から飛び出そうとすることがしばしばです。両親は、このままでは幼児教室を続けられないかもしれない、さらに、幼稚園にはきちんと行けるだろうか、と心配になってきました。

診断

 広汎性発達障害は、人とのやりとりの困難、コミュニケーションの困難、興味と活動の偏りが低年齢からみられ、生活に支障をきたします。典型的な場合が自閉症ですが、自閉症状の程度の重い場合から日常生活での支障がさほど目立たない軽い場合まで、さまざまな程度があると考えられるようになっています。そうした連続性に重点を置いて、自閉症スペクトラム障害という呼び方をすることが増えてきています。自閉症スペクトラム障害は子どもの1%以上に認められ、男児の方が多いとされています。知的な遅れがある場合から遅れがない場合、自閉症状の程度の重い場合から軽い場合があり、さらに年齢によっても様子が異なります。
 Fちゃんは、1歳半頃に獲得できるはずの物に名前があるということについての理解が不十分で、言語だけでなく知的にも一定の遅れがありました。同年齢の子どもに関心が乏しく、相互のやりとりができませんが、周りの大人がいつも本人に合わせた対応をしているとその点は目立ちにくくなります。興味に偏りがあったりこだわりが強かったりすることで生活に支障をきたすことがしばしばで、Fちゃんのようなパターン化した行動として表れることもあります。
 治療の基本は、本人の理解力を伸ばしたり情緒を豊かにしたりするとともに、生活スキルを高めることによって生活の充実を図り、生活に支障をきたす行動を軽減することです。教育的な手法を用いた治療教育が重要な役割を果たし、環境調整、認知行動療法、薬物療法などを適宜組み合わせていきます。医療だけでなく教育、福祉などの多職種の連携が必要で、そのためにも本人の発達の水準や特性について周囲の大人が共通理解を持っていることが大切になります。