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こんなことありませんか?【診断編】 CASE 5

アルコール依存症

CASE 5

症例

 Eさんは大学を卒業した後に企業に就職した真面目なサラリーマンです。30歳で同僚と結婚し、帰宅後に妻と食事をしながらビールを1、2缶飲むことを毎晩の楽しみにしていました。仕事もうまくいき徐々に昇進し、40歳で課長となりました。その頃より中間管理職としてのストレスが溜まり始め、ほぼ毎晩同僚と飲みに出かけ、時には泥酔して帰ってくることもありました。家でも飲酒量が増え、日本酒を2~3合飲まないと寝られなくなりました。妻から「お酒の量を減らしたほうがいいんじゃないの?」といわれ、自分でも減らしたほうがいいかなあと思いながらも、なかなかお酒の量を減らすことはできませんでした。
 そうこうするうちに、仕事上のストレスともあいまって、飲酒量が増えていき、1ヶ月に何回かは妻の就寝後も一人で飲酒を続け、一升瓶を飲み干して前の晩のことを全く覚えていなかったり、朝起きられずに仕事に遅れたりすることがみられました。お酒を今夜だけはやめようと思っても、手が震えて、冷や汗がでてきて、イライラしてしまうので、それを抑えるために、ついついお酒を飲んでいました。土・日には朝から飲むようになり、妻が見かねて家にある酒を全部捨てたところ、今度は帰宅途中に歩きながら飲酒しているところを近所の人に目撃されたりするようになり、妻から離婚話を持ち出されました。体調不良が続き、食事量も減ってきたため内科を受診したところ、肝機能障害のため即日入院することとなりました。

診断

 アルコール依存症は、長期間大量のアルコールを摂取した結果、アルコールを持続的に摂取しないと体の反応(ふるえ、発汗などの離脱症状)が出たり、極めて強い渇望感が生じたりしてあらゆる手段でアルコールを摂取しようとしてしまう状態です。
 Eさんは、内科の医師からは禁酒を言い渡されていたにもかかわらず、内科入院中も我慢できずに外出して飲酒して、アルコールの匂いをさせながら病棟に戻ってきたため、医師からアルコール依存症の可能性を指摘され、精神科医の診察を受けるように勧められました。精神科で休職のための診断書が出されて、身体の治療とアルコール依存症の治療のためにあらためて精神科で入院治療を行うこととなりました。主治医から繰り返しアルコール依存症の説明を聞くにつれて、しばらくは自分がそうであるとは認められなかったものの、「節酒では解決できず、断酒しかないこと、また、断酒をしばらくしていても、いったんアルコールを少しでも口にしてしまうと、間もなくアルコールを大量に摂取する状態に戻ってしまうこと」を徐々に受け入れられるようになりました。退院後は定期的に外来に通い、断酒会に参加しました。このような本人の取り組みに妻も協力し、家にはアルコールをおかないようにし、外来通院にも毎回付き添いました。その後、職務を軽減した形で復帰し、酒を一生口にしないことを誓って、それを守りながら今では平和な生活を送っています。

アルコール依存症セルフチェック(CAGE)

  1. あなたは今までに、飲酒を減らさなければいけないと思ったことがありますか?
  2. あなたは今までに、飲酒を批判されて、腹が立ったり苛立ったことがありますか?
  3. あなたは今までに、飲酒に後ろめたい気持ちや罪悪感を持ったことがありますか?
  4. あなたは今までに、朝酒や迎え酒を飲んだことがありますか?

2項目以上あてはまる場合は、アルコール依存症の可能性があります。
出典:Ewing JA. 北村俊則(訳) CAGE質問票. 精神科診断学, 1991