大日本住友製薬
Innovation today, healthier tomorrows

座談会を終えて

高橋洋一氏

私は現在の病院に赴任するまで、大学病院の神経内科でパーキンソン病の方を診療していました。パーキンソン病は特別な検査をしなくても症状、神経所見だけで診断可能な方が多いですが、時に典型的でなく確定診断に苦慮する例もあります。

大学病院~大きな総合病院は検査機器も充実しており、これら問題症例の早期の確定診断には適していると思います。しかし外来通院が困難になった方を長期にわたって診ていくことは医療制度上も困難です。長期にわたって診ていける近隣の慢性期病院、療養施設、家庭医など各医療機関が特長を生かして、うまく連携・役割分担して安心して診療を続けられるようなシステムづくりも必要かな、と感じています。

川田純也氏

以前は、①手のふるえや、②動きがゆっくりになる動作緩慢、③筋肉の緊張が高まる固縮、④姿勢が不安定になる姿勢反射障害のパーキンソン四徴と言われる、症状やサインが確実に出現するまでパーキンソン病と確定診断することが難しい時代もありました。しかしその後の研究で、症状やサインがみられる以前から脳のなかでは病変は進行していることが分かってきました。そして症状やサインが軽くてもパーキンソン病を疑うようになってきています。また副作用の予防のために、症状が進行するまで治療開始を遅らせるほうが良いとされた時代もあるのですが、現在では、治療の開始が早いほうが症状の進行も遅いという知見がほぼ確実になっています。そのために早期診断が重要で、動作がゆっくりになったり、手足の細かいふるえなどがありましたら、早めに専門医にご相談ください。

岡田雅仁氏

座談会では臨床経験豊富な先生方と意見交換でき、パーキンソン病の患者さんが抱えている共通の問題、悩みが理解できました。また各先生方がそれぞれの仕方で受け止めて、対応なさっていらっしゃることを勉強させていただきました。世界中で日々新しい治療が試みられていますが、それをわかりやすく伝え、治療につなげていきながら、診療のなかでは「希望をもって」「前向きに」をスローガンに、患者さんたちのドーパミンを増やすお手伝いをしていきたいと思っています。

川嶋乃里子氏

パーキンソン病と上手に付き合うには、病気のことをよく知っていただくことや、①週2回の散歩などの有酸素運動、②毎日約10分のパーキンソン病体操などの筋肉、関節の可動性、筋力、バランスを改善する運動、③週1回の太極拳、社交ダンス、ヨガ、歌唱などの、姿勢を意識し人との交流がある運動をお勧めします。遊び心も大切です。クリニックではパーキンソン病についての医学講座、スポーツ吹矢教室、講談と落語の会を行っていますので、ぜひご利用ください。

三富哲郎氏

パーキンソン病は治療の主体は薬物療法ですが、患者さんそれぞれの症状だけでなく、家族構成、住環境、職業など種々の社会的因子により治療方が決定されるべき疾患です。患者さんの社会的因子をより把握されている地域のかかりつけ医、介護職の方にも疾患の特徴、治療法を啓蒙する機会があればよりきめ細かい治療が可能になると考えます。今回の企画がその一助になればと考えております。

丹野善博氏

パーキンソン病は神経難病ですが、有効な治療法が多くあり、そしてこれからも次々と病態解明の進歩、新たな治療法が出てくることは間違いないと思います。私はパーキンソン病という病気に対して悲観的に考えることはないですが、過小評価もしていません。まだまだ、満足できる治療法はほど遠く、私にできることで貢献していきたいと考えています。

山田人志氏

パーキンソン病は神経の病気の中で最も原因の解明や治療の研究がすすんでいる1つです。年々いい治療薬や薬以外の治療法も進歩しています。ですから患者さんには、治る時が来るまで、希望をもち、うまくパーキンソン病と付き合ってほしいと思います。それには、①1人で悩まない、②孤独に感じない、③なるべく毎日楽しく過ごす、④必要以上に将来に不安をもたない、ようにすることが大切だと思います。それには、家に閉じこもっていないで、友の会や地域の会などに参加し、積極的に他の人と話し合い、助け合い、協力しあうのがいいと思います。

長谷川一子氏

パーキンソン病は神経難病といわれますが、治療法がありますし、たくさんの薬が今も開発中です。 手術についてもいろいろと考案されており、”こわい病気”ではありません。 いい状態を維持するには医師と患者さん両方の努力が必要です。一緒に頑張りましょう。