大日本住友製薬
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第6回 高血圧

用語解説

合併症
病気が原因で他の臓器に生じる不具合や他の病気。糖尿病には急性の合併症と、時間をかけて徐々に進行する慢性の合併症があり、慢性合併症には細小血管障害と大血管障害がある。
疫学調査
人の集団を対象に病気の広がりや原因を調べ、予防や治療方法を探るもの。健康の改善や向上に欠かせない情報を提供してくれる。
NIPPON DATA 90
日本国内の300地区の住民約8,000人を対象に、1990年から10年間にわたって循環器疾患の危険因子と死亡との関連を調査した研究。総コレステロールと死亡、高血圧や肥満と脳血管疾患による死亡、喫煙と脳血管疾患の発症などさまざまな関連を検討した。
糖尿病治療ガイドライン
ガイドラインとは医療者と患者さんが診断や治療において適切に判断が下せるように作成された文書。日本糖尿病学会では「科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン」を発表し、血糖コントロールの目標値、血圧や脂質管理の指標などを示している。
降圧目標値
高血圧の治療時に、合併症予防のために目標とする血圧値。高血圧治療ガイドライン2009では、若年者・中年者、高齢者、糖尿病患者・腎臓病患者・心筋梗塞後患者、脳血管障害患者別に降圧目標値を設定している。
高血圧治療ガイドライン
日本高血圧学会から発表されているガイドライン。降圧目標値や血圧の分類、高血圧の管理計画、降圧薬の使い方などが記載されている。
ハイリスク群
リスクが高い群。
心血管疾患
心筋梗塞や脳梗塞など心臓や血管の病気。
網膜症
網膜は眼球に入ってきた光を信号に変え、視神経により脳に伝える役割を果たしている。糖尿病性網膜症は、高血糖により網膜の毛細血管がおかされる病気。放置すると最終的には網膜剥離(もうまくはくり)、失明などの深刻な視覚障害が生じることがある。失明原因の第1位となっている。
腎症
腎臓は毛細血管が球状に密集した「糸球体」と呼ばれる部分で血液をろ過し、老廃物や余分な水分を尿として排出している。糖尿病性腎症は、高血糖により毛細血管でできた糸球体がおかされ、腎臓の機能が低下する病気。自覚症状がないまま徐々に進行する。
末梢神経障害
神経は脳や脊髄からなる中枢神経とそこから体の各部にのびる末梢神経にわけられる。末梢神経には知覚神経、運動神経、自律神経などがあり、障害されると手足のしびれや痛み、立ちくらみ、内臓の不具合など全身にさまざまな症状が生じる。
VADT試験
アメリカにおける2型糖尿病の研究。
サブ解析
研究対象となった集団の中から一部の集団を取り出して解析すること。
2型糖尿病
インスリン分泌の低下やインスリン抵抗性を起こす複数の遺伝的要因に、過食や運動不足などの環境的要因が加わり、インスリンの作用不足が生じて発症する糖尿病。インスリンが絶対的に欠乏してインスリン治療が不可欠になる1型糖尿病に対し、2型糖尿病ではインスリン治療は必須ではないが、病気が進行して経口血糖降下薬で血糖コントロールが難しくなった場合に選択される。
罹病期間
病気にかかっている期間。
心血管イベント
心筋梗塞や脳梗塞など心臓や血管の病気が発生すること。またそれによって死亡すること。
空腹時血糖値
前日の夕食を摂った後、何も食べずに翌朝に測定する血糖値。日本糖尿病学会の判定基準では、100mg/dL 未満を「正常型」、100~109mg/dLを「正常高値」、110~125mg/dLを「空腹時血糖異常(IFG)」、126mg/dL以上を「糖尿病型」としている。
食後血糖
通常、食事をすると血糖値が少し上がり、2~3時間以内に食事前の値に戻るが、糖尿病になり始めると食後の血糖値が高くなる。食事開始2時間後の血糖値が140mg/dL以上の場合「食後高血糖」という。糖尿病の早期の段階では、食後血糖値が大幅に上昇しても、空腹時には正常域に下がることが多い。そのため空腹時血糖値の測定だけでは食後高血糖を見逃すことになり注意が必要である。

糖尿病の合併症 ~その予防のために~ 第6回 高血圧

東京慈恵会医科大学 糖尿病・代謝内分泌内科 准教授 西村理明 先生

糖尿病と高血圧は合併することが多く、高血圧を合併した糖尿病患者さんは大血管障害や細小血管障害の危険が高いため、目標血圧値を120/70mmHgと厳しく設定する必要があります。

糖尿病と高血圧の合併率は非常に高く、糖尿病患者さんが高血圧を合併する頻度は糖尿病でない人の約2倍、高血圧患者さんが糖尿病を合併する頻度は高血圧でない患者さんの約3倍と報告されています。

糖尿病患者さんが高血圧を合併すると、心筋梗塞や脳梗塞、網膜症、腎症、末梢神経障害などの糖尿病の合併症を発症する危険が高くなります。そのため、目標血圧値を120/70mmHgと通常より厳しく設定し、血糖とともに血圧を厳格にコントロールしていく必要があります。

また、2型糖尿病が発症してからの期間が短いほど、血糖を厳しくコントロールすれば心筋梗塞や脳梗塞の発症が減少することがわかっています。糖尿病の早期には、空腹時血糖値の上昇より食後血糖値の上昇の方が合併症の発症に大きな影響があることがわかっており、食後高血糖を抑えることが重要になります。

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