大日本住友製薬
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第5回 低血糖

用語解説

合併症
病気が原因で他の臓器に生じる不具合や他の病気。糖尿病には急性の合併症と、時間をかけて徐々に進行する慢性の合併症があり、慢性合併症には細小血管障害と大血管障害がある。
低血糖
血糖値が正常範囲を超えて下がりすぎた状態。発汗、不安、動悸、頻脈、手の振るえなどが起こり、対処が遅れると意識がなくなり昏睡におちいることもあり、十分に注意が必要。薬の種類や量を間違えたり、食事が遅れたりすることでも起こる。低血糖を感じたら、直ちにブドウ糖やブドウ糖を含む飲み物や食べ物を摂る必要がある。薬の種類によっては、砂糖でも良い。
脳心血管イベント
心筋梗塞や脳梗塞など心臓や脳の血管の病気が発生すること。またそれによって死亡すること。
食後高血糖
食事により引き起こされる高血糖状態。通常、健康な人では、食事開始2時間後食後2時間の血糖値が140mg/dL以上を超えることはないと考えられている。高血糖状態の場合、心筋梗塞や脳梗塞を発症する危険が高くなることがわかっている。
罹病期間
病気にかかっている期間。
経口血糖降下薬
糖尿病治療のために、血糖値を下げる飲み薬。主にインスリンの分泌を促す薬と、インスリン抵抗性を改善する薬と、糖質の消化吸収を抑える薬がある。
HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)
過去1~2か月間の血糖値の平均を表す検査値。これまで日本で用いられてきた"JDS値"で6.5%以上、国際標準値で6.1%以上だと糖尿病型と判定される。赤血球に結合したブドウ糖を測定している。
シックデイ
風邪や発熱、腹痛、下痢、嘔吐、食欲がないなど、体調が悪い時のこと。シックデイのときは、血糖値の変動が大きくなるので、特別な対応が必要になる。

糖尿病の合併症 ~その予防のために~ 第5回 低血糖

日本医科大学 老年内科 教授 大庭建三 先生

高齢の糖尿病患者さんでは、低血糖の発作を起こすと心筋梗塞や脳梗塞、転倒による骨折やけがを生じることがあり、さらに重症の低血糖発作は将来の認知症の発症原因にもなります。

高齢の患者さんは生理機能が低下していることに加え、身体的、社会的背景など個人差が大きく、個々の患者さんに応じた治療が必要になります。なかでも糖尿病の薬物療法は難しく、血糖をコントロールしつつ低血糖にならないように気をつけなければなりません。

通常、血糖値が下がりすぎると警告症状として、不安感、手の震え、イライラ感、動悸、空腹感、汗をかくなどの低血糖症状が現れます。しかし、高齢者ではこうした低血糖症状に気づきにくく、対応が遅れがちになることがあります。1回でも低血糖発作を起こすと、心筋梗塞や脳梗塞、転倒による骨折やけがなどの原因になり、最近では、重症の低血糖発作と認知症の関係も報告されています。ただし、低血糖をおそれるあまり、血糖コントロールが不十分になるのは禁物です。高齢者であっても、食後高血糖であれば心筋梗塞や脳梗塞の危険は高まるため、低血糖には十分注意しながら、積極的に食後高血糖をコントロールする必要があります。

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