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第4回 動脈硬化の発症時期

用語解説

動脈硬化
動脈の内側の壁に脂肪やコレステロールがたまり、血管が狭くなったり、もろくなったりする現象。血流が悪くなり、血管がつまると心筋梗塞や脳梗塞などを起こす。
脂質異常症
血液のなかのコレステロールや中性脂肪などの脂質が異常に多くなる病気。増えた脂質は血管の内側にたまり動脈硬化の原因になる。
境界型糖尿病
血糖値が正常型と糖尿病型の中間に位置する、いわゆる"糖尿病予備軍"。糖尿病はまだ発症していないが糖尿病が発症しやすい段階なので、発症を予防することが大事。食事開始2時間後の血糖値が140~200mg/dL、空腹時血糖値が110~126mg/dLの状態。
舟形町研究
山形県舟形町で行われた、日本における大規模研究。境界型の中でも、空腹時の血糖値だけが高い、「空腹時過血糖(IFG)」はリスクが高くはならなかったが、食後高血糖である「耐糖能異常(IGT)」は心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めることがわかった。
耐糖能異常(IGT)
空腹時血糖値は140mg/dL未満の正常域で、食事開始2時間後の血糖値が140~199mg/dLを示す状態。「耐糖能異常」は心筋梗塞や脳梗塞のリスクとなる。
大血管障害
高血糖などが原因で動脈硬化が起こり、太い血管に生じる血管障害。糖尿病であることで起こりやすくなる合併症で、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などがある。
空腹時過血糖(IFG)
前日の夕食を摂った後、何も食べずに翌朝に測定する血糖値を空腹時血糖という。空腹時血糖が110 ~125mg/dLの場合を「空腹時過血糖(IFG)」という。
インスリン抵抗性
インスリンは、膵臓から分泌される、血糖値を下げるホルモン。インスリンが分泌されていても、その効きが悪くなっている状態をインスリン抵抗性という。
内臓肥満
おなかのまわりの内臓に脂肪が蓄積するタイプの肥満。内臓脂肪型肥満ともいう。
メタボリックシンドローム
内臓脂肪型肥満に、高血糖、高血圧、脂質異常のうち2つ以上が重なった状態。動脈硬化を起こしやすく、心筋梗塞や脳梗塞などを発症する危険が高い。
内臓脂肪
おなかのまわりの臓器に蓄積された脂肪。過剰に蓄積されるとメタボリックシンドロームを引き起こす。
脂肪肝
肝臓に中性脂肪が異常にたまった状態。過食、多量飲酒、糖尿病、薬剤などが原因で起こる。放置すると肝炎、肝硬変に進行する。
食後高血糖
食事により引き起こされる高血糖状態。通常、健康な人では、食事開始2時間後食後2時間の血糖値が140mg/dL以上を超えることはないと考えられている。高血糖状態の場合、心筋梗塞や脳梗塞を発症する危険が高くなることがわかっている。
カプリ試験
644名の2型糖尿病患者さんが参加したイタリアの試験。食後の血糖値がどの程度高くなり、何時間後にピークになるかを調査し、動脈硬化との関係を検討した。
内膜中膜複合体肥厚度(intima-media thickness : IMT)
動脈の血管壁は内膜・中膜・外膜の3層からなり、そのうちエコーで表示される内膜と中膜を合わせた厚み。動脈硬化が進行するとその値が高くなる。
酸化ストレス
体内におけるエネルギーの産生、侵入してきた異物の攻撃、細胞の情報伝達などを担う「活性酸素」が、体内で異常に増えすぎ、脂質、蛋白質、糖、酵素、遺伝子などを酸化させ、損傷を与えること。酸化された脂質は血管にたまり動脈硬化の原因になる。
血管内皮機能障害
血管の内側の細胞である、血管内皮細胞の機能が障害されること。血管内皮機能は血管の健康状態を維持するのに重要であり、機能が低下すると動脈硬化の原因になる。

糖尿病の合併症 ~その予防のために~ 第4回 動脈硬化の発症時期

横浜市立大学大学院医学研究科 分子内分泌・糖尿病内科学 教授 寺内康夫 先生

動脈硬化は糖尿病が発症する前の耐糖能異常(食後高血糖)の段階から加速します。耐糖能異常にはメタボリックシンドロームが合併することが多く、心筋梗塞や脳梗塞の危険が高まります。

動脈硬化が原因で起こる心筋梗塞や脳梗塞は、「境界型糖尿病」の段階からリスクが高まることがわかっています。境界型糖尿病は、食後高血糖、つまり食後の血糖値が高い「耐糖能異常」を起こしている段階で、多くの場合その背景には血糖を下げるホルモンであるインスリンの効きが悪くなる「インスリン抵抗性」という状態が存在しています。また耐糖能異常は内臓肥満、高血圧、脂質異常といった、動脈硬化の危険因子をいくつも併せ持つ「メタボリックシンドローム」を合併することも考えられます。

こうした動脈硬化を評価する方法に「頚動脈IMT」という検査があります。首の頚動脈の血管壁の厚さを測ることで、動脈硬化がどのくらい進行しているかを評価します。この方法で動脈硬化と食後高血糖の関係を調べたところ、空腹時の血糖値と食後のピークの血糖値の差が大きいほど、血管壁が厚く、食後高血糖が動脈硬化を進行させることがわかりました。

動脈硬化は耐糖能異常の段階から加速することがわかっており、早期に耐糖能異常(食後高血糖)をみつけ、生活習慣を改善し、適切な治療を行うことが重要です。

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